2013/10/31

錦鯉:日本へ来た海外の観光客に見せてほしい日本の文化

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とある庭園の池で、錦鯉や野鯉を見ていました。金魚や熱帯魚もキュートでいいですが、大きな池で優雅に戯れる鯉……なぜヨーロッパ人が恋い(鯉)こがれるのか納得です。あくせくしていない泳ぎを水面(みなも)が物語ってます。

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下手な観光地を案内するより、大きな池で錦鯉を鑑賞したほうが「思い出深い日本の文化体験」かもしれません。

古来、中国では、滝を登りきった鯉が龍になる「登龍門」の伝説がありますけど、「登龍門」→「成功へといたる難しい関門を突破」→「鯉のぼり」と、日本の端午の節句でも空を優雅に泳ぐ鯉。

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いろいろ調べてみると、スラヴ系民族にとっては聖なる食とされているようで、ウクライナ、ポーランド、チェコ、スロバキア、ドイツ、ベラルーシなどの國では、クリスマスイヴの食卓に欠かせないようです。

それと驚くことに、鯉は人間並みに長寿。40年ぐらいは生きるみたいで、なかには60年なんてものもいるようで。

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そういえば、日本でも産後に鯉を食べると乳の出がよくなるなんて話を聞いたことがありますけど……ちょっと癖のある味わいなので、特別な場でしか調理されない料理になってしまうかもしれません。

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2013/09/30

舞妓はんも明るい時間帯はフツーの女の子?!

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寺町京極では滅多にみかけない普段着の舞妓さんだけど、
バカTなんて言われる海外からの旅行者向け土産物屋の前にて。

「妄想族」とか「 ADULT T-Shirt」とか……
着てそのへんを歩いたら恥ずかしいなんて思ったりもしますが、
アルファベットがプリントされたTシャツでも、
オシャレなようで読んでみると
ネイティブの人たちから笑われそうな表現だったりしますよね?!

そんな余談はさておき、
おそらく地方出身なんだろうなあという雰囲気の2人でした。
肩のところを折って縫い合わせてあるので、
なんちゃっての観光客舞妓ではないと思われますが。

2013/05/20

独自視点の旅は色褪せない:『異郷の景色 』西江雅之著

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何気なく古本屋で見つけて買った『異郷の景色 』(西江雅之著)。

著者は若干23歳ながら独学でスワヒリ語の文法を日本初のスワヒリ語の文法書をまとめたり、
早稲田大学で文化人類学の教鞭を執った人ですが……

1979年初版なのに過去の旅紀行を読まされている感じがしなくて、
とても楽しく読ませてもらった一冊です。

文体も約物(記号類)が極めてシンプル。
句読点以外は会話の部分もカギカッコではなく2倍ダーシ「――」が主に使われていて、
読んでいて引っかかりが少ない。

またリズム感を感じる読みやすい文体なのに、
小説家やルポライターとは違った「客体との距離感」が、
むしろ描かれた光景を脳裏で想起させてくれる。

日本だと新宿・吉祥寺・神保町・豊島園。海外は台北・オアフ・ティフアナ(メキシコ)・ロスアンゼルス・サンフランシスコ・ナイロビ...etcといった街をめぐる旅物語が綴られています。

唯一、時代を感じさせるのは海外渡航前の予防接種の証明書の話題が登場するぐらいでしょうか?
歴史的というか通時的な語り口ではないですし、
2013年でも、こんな光景ってあるなあと思う記述も多く、
なんだか同時代的なものを感じるだけでなく、どこか醒めた視点がむしろ一気に読み終えさせてくれました。

たとえば、昆虫や動物を売っている店での一コマ……

――ほら、ぼうや、絵で見たでしょ、カブトムシですよ。 と話しかけている。なるほど、そのカブトムシも、その母親も、その子供も、みんなすべて本や雑誌のなかでみた絵とそっくりだ。

といった行(くだり)。<138ページ>


ちなみに、私が手に取ったのは晶文社刊ですが、
西江雅之作品集(大巧社刊)にも収録されているようです。

学者さんが書いた書籍ですが、
「アーバンツーリズム」のエトセトラを知ることができる一冊としてもオススメです。

※アーバンツーリスムについて
http://kotobank.jp/word/アーバンツーリズム

2013/04/23

名古屋市長選挙のポスター:河村たかし・男の背中

Dscn3300瀬先週,所用で名古屋へ行ったとき,
いたるところで見かけた市長選挙のポスター。
選挙も終わり,
もう掲載しても問題ないので,

今更ですが……

圧勝した河村たかし市長です。
市民税5%減税との主張は,
行政側にとってはマイナス要因かもしれませんが,

そのじつ,庶民からすれば,
気分的に「消費できそう」といった趣のような気がします。

そんなことはさておき、
このポスターで印象的だったのが……

おなじみドラゴンズの帽子をかぶり自転車に乗った河村たかし氏のイラスト。
ニッコリ笑ってVサインなんかだと嫌らしさを感じますが,
この後ろ姿というのが私にとっては高ポイントでした。
人生を背中で語ってくれてるといったところでしょうか?!

Dscn3301_2それにしても「気さくな64才」って,
実年齢よりも「気さく」という形容が,
なんとも引きつけられるというか,
じつは知名度だけでなく選挙戦がうまいと思った河村たかし氏でした。


2013/04/17

おもしろ看板考「和気愛2」@名古屋・大須

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先日,所用で名古屋へ行き,なぜか訪れると様々な発見がある大須にて発見した飲み屋の看板。

「和気愛2」とは「わきあいあい」と読めばいいのでしょうね?!

ちなみに「わきあいあい」は,正式な四字熟語では「和気藹々」「和気藹藹」「和気靄々」「和気靄靄」と書くようで「あいあい」の漢字が使い慣れないものばかりです。

なので「和気愛2」は,じつにわかりやすい「当て字」ですね。とてもなごめるネーミングです。

ちなみに「愛×2」か「愛の2乗」なのか……まあ,どちらでもいいですね。

日暮れに,こんな看板が目に入ったら,それだけで心が癒されるかもしれません。

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ワンモアタイム!

閑話休題。そういえば,以前,こんなスナックの看板を見つけたことがありました。

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「TORK SALLON 愛」

カタカナ化すると「トークサロン アイ」ですね。

おそらく「TALK SALON 愛」と綴るべきところかと思いますが,
これはそうそうできないスペルミス,いや創造的なスペリングです!

かなり以前に発見したものですが,これだけインターネットも発達し,
日本で誤解も多いグローバリズム(いわゆるアメリカ的な)が話題にされる昨今,
こうした大らかさが許されない時代となりつつあるのではないでしょうか?

このところ,クール?なものがもてはやされるので,
むしろ発見する楽しみがあるのは,こういった「レアさ」だったりします。


2013/03/28

近松門左衛門の墓を訪れてみた。

先日、所用で尼崎に行った折に、曽根崎心中の作者として有名な近松門左衛門の墓を訪れました。そのときの様子を、曽根崎心中関連のウェブサイトで記録しております。もしよかったらご覧ください。

http://doublesuicide.jp/amagasaki.html

ふとしたことから曽根崎心中に興味を抱き、作品づくりをされている作家さん達を集めて展覧会を催してみたり……。まだまだ、そういった企画を催してみたい気持ちはあるのですが、そういった動きはいったん止めて、機が熟したときに改めてアクションを起こすまで、ウェブサイトで曽根崎心中関連の話題を公開していきます。お時間が許すようでしたら、一度ご覧下さい。

http://doublesuicide.jp/

2013/01/22

わが北新地 :: 里中満智子・近松門左衛門・アーバンツーリズム

大阪の歴史と文化を感じるアーバンツーリズムを語るうえで絶対に外せない北新地。特に本通りを歩いてみると,「文化銘板」と名付けられた北新地の文化遺産を,図版と説明文(日本語/英語)を錆びないチタンパネルで表現し,遊歩道に設置されています。

たとえば……

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北新地を舞台にした心中物・恋物語といえば,多くの人が近松門左衛門の『曽根崎心中』を思い浮かべるかと思いますが,同じ近松の『心中天網島』も,北新地にあった紀伊国屋の遊女・小春と天満の紙問屋・治兵衛の心中を扱った代表作の一つです。

上記の文化銘板では,この『心中天網島』の大事なシーンを大阪出身の漫画家・里中満智子さんが描いています。錆びないチタンパネルではありますが,残念ながら雨風や夜の街が苦手?な太陽光にもさらされているためか,現物はやや見辛いので,北新地社交料飲協会のウェブサイトでご確認ください。

http://www.kita-shinchi.org/new/bunkameiban16.html

ちなみに現代の北新地は,妖艶なホステスさんが接客するナイトクラブや高級料理店のみならず,リーズナブルな居酒屋もあったりして,けっこう会社帰りの会社員やOLさんの姿も見かけます。

また,夜の蝶とも呼ばれるホステスさんには,甘い蜜が漂いそうな美しい花が似合います。

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田園地区に咲く素朴な花には素朴な花の美しさがあれば,歓楽街(花街)を彩る花には刹那の美しさを感じてしまいます。それにしても歓楽街の花屋で出番を待つ花って,どうして華々しいのに,どこか儚さを感じてしまうのでしょうか? 

さて,花より団子でもないですが有名な堂島ロールじゃなくて……

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北新地ロールなるものを発見しました!
まんなかの生クリームの部分には赤いストロベリージャムでしょうか?
ハートを形どってあって,いかにも新地らしいアイデアだと感心し,ついついパブロフの犬と化してしまったのでありました。

とまれ,やはり,北新地の歴史を語る上で一番大切ともいえる物語とは……

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曽根崎心中であります。もちろん文化銘板でも紹介されていますが,写真ではやや説明等わかりづらいので……

http://www.kita-shinchi.org/new/bunkameiban14.html

北新地社交料飲協会のウェブサイトでご確認ください。

それにしても,この文化銘板,英語でも説明文がありますので,日本の文化に興味がある海外からの観光客や日本に在住する方が来られても,ある意味,真の「大阪流アーバンツーリズム」が楽しめるはずです。

そして大阪を何気なく訪れた方にとっても,近代的なビルの狭間から,この街で生きてきた人々の人間模様を感じとれるかもしれません。そんな「人間臭さ」が魅力的でもある北新地でした。

(余談)
アメリカのクリントン元大統領が北新地をお気に入りとの話を,何かのテレビ番組で見たことがあります。

2013/01/18

アーバンツーリズムと曽根崎心中:大坂三十三観音巡礼(最終回/天王寺~心斎橋・本町)

※はじめてお越しの方へ。

はじめからお読みになられる場合は…
大坂三十三観音を歩いて大阪の街を再発見:その序章。
大坂三十三観音巡礼記その1
大坂三十三観音巡礼記その2
大坂三十三観音巡礼記その3
大坂三十三観音巡礼記その4
をクリックして順次お読みください。

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大通りをはさんで国立文楽劇場の前にあった古本屋。
「本より散歩」「本より昼めし」「本より恋愛」「本より映画」
という大阪っぽいパラドックスめいたコピーが新鮮でした。

さてさて,8月末に歩いた大坂三十三観音巡礼記録も今回が最後です。
写真をまじえながら歩いた軌跡を綴ります。

今までどおり,最後に曾根崎心中の原文と現代語訳をつけますが,
曾根崎心中で描かれた大坂三十三観音巡礼の最後の一文を,
勝手な現代語訳で恐縮ですが最初に紹介しておきます。

「観音様は一切衆生(私たち人間)を助けようと,
 この世に,三十三もの姿を変えては現れ,
 色気で人間の心を導き,情で人間に教え,
 恋を菩提の架け橋にして,美しいあの世(浄土)へ渡して助けてくださいます。
 遊女のお初は,さながら,観音の化身なのでしょうか?
 観音様の誓いは尊くも有り難いものです。」

第二十番~第三十三番まで。
四天王寺から心斎橋を経由して,最後に本町周辺で満願です。

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まずは四天王寺から。

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じつはこの五重塔をはじめて近くで見ました。
この五重塔や一部の仏閣を見る時だけ拝観料300円が必要です。

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四天王寺は新西国観音霊場の一番札所でもあり,
門前には巡礼に必要なものが一通り揃えることができます。
とまれ,今も昔も大坂三十三観音巡礼においては,
白装束で歩いた人は極めて稀だったのではないでしょうか?

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天王寺界隈にもある「清水寺(第二十五番)」へ行くルートに「だんじり」を作る会社がありました。

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谷町筋と松屋町筋の間には風情のある坂がたくさんあります。

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二十五番札所・清水寺。
通天閣を臨むだけでなく,いにしえの大坂の街を網膜の奥で描き出したくなる絶景です。

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第二十六番・心光寺,第二十七番・大覚寺,第二十八番・大覚寺。
このエリアは古い石標が多く,ふと巡礼者の足音を感じました。

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第二十九番・大覚寺。
天王寺高校発祥の地とありました。

さてさて,残すは,あと4カ所。
この時点で500MLのペットボトルを4、5本ぐらい消費。
でも,そのあかげで熱中症にはなりませんでした(※2010年8月)。

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次の札所である三津寺までは少々距離がありますが,
国立文楽劇場の前を大坂三十三観音巡礼で通るなんて,
奇遇といったらいいのでしょうか?

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ようやく難波・千日前に着くと,
なぜか人混みの中へ入っていきたくなりました。
さてさて,寄り道っぽくなってしまいましたが……

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御堂筋沿いにある第三十番・三津寺。
人通りの多い繁華街の中でも,
こうして巡礼で訪れると,なんだか心が落ち着くから不思議。

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第三十一番・大福院があったと思われる場所。
大阪だけでなく京都でも,歴史的な文献で書かれている場所の多くが,
コンビニやチェーン店のテナントだったりします。

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午後三時ごろに第三十二番・難波稲荷神社に到着。
小洒落た南船場のブティックがあるエリアを,
首にタオル,手にペットボトルと,頭に日本手ぬぐいをまとう,
怪しい男となった一日でした。苦笑。

そしていよいよ,最後の第三十三番・御霊神社に着くと……

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なんと文楽座跡でもあることを知りました。

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ここで大坂三十三観音の満願!!
自然と頭が垂れました。
そして神主さんからも労をねぎらう優しい言葉もいただきました!!

こうして大坂三十三観音を巡礼することで,
「曾根崎心中」を身体で読むことができ,
近松門左衛門の描写力の凄さを感じることもでき,
いろんな大阪の顔に出逢えました。

曽根崎心中を読んだり関心がある方でしたら,
きっと「けっこうしんどいけど楽しめる」大阪の奥深いアーバンツーリズムとして,
大坂三十三観音巡礼をオススメします。

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最後に四天王寺から御霊神社までの「曾根崎心中」の該当部分を,
現代語訳と原文と両方,以下に紹介します。

slateマークの部分 .... 近松門左衛門の原文です。
clubマークの部分 .... 私が勝手に現代語に翻訳・要約したりしたものです。

club私の勝手な曾根崎心中の現代訳

「はやくも天王寺にきました。
 まず六時堂,次に7000以上もの経典が納められている経堂を巡拝しました。
 今はお経を読む酉の時刻(夕方)ということもあり,
 カップルが待つ宵や朝の朝の別れについては他人事と思えど,
 聴くと辛い鐘の音が「こんこん」と響く金堂,そして講堂と巡拝しました。
 萬燈院(まんとういん)には,光り輝く蝋燭(ろうそく)がともされていました。

 新清水(清水寺)に着くと,しばしの休憩。
 (西行法師の古い歌を偲ばせる)逢坂の関の清水を汲み上げて,
 両手ですくって口をすすぎ,煩悩(ぼんのう)を起こす酒の酔いをさましました。
 
 木々の下を吹く風が涼しく右の袖から左の袖へと通り抜けます。
 通りのよい煙管(キセル)にくゆらせる煙も道中の癒しになって熱く感じません。
 その煙を吹き出すと乱れて空に消え,行方も知れません。
 タバコの別名である相思い草も,恋人を思うよすがとなりました。
 そうして寄り道をしている間に,陽が傾いて,
 先を急ごうとしていると,雨雲が広がってきました。

 時雨の松の下で雨宿りをしようと,下寺町へ回り,
 信心の心で深く心光寺をお参りし,
 いまだ悟りのない身さえも大いに悟ることができる大覚寺をお参りしました。
 さらに金台寺そして大蓮寺と巡拝すると,

 いよいよ第三十番の三津寺に着きました。
 この寺の大慈大悲に願いを込めて,
 仏の御手にかけられた五色の糸にすがって白髪町の大福院へ。
 黒髪は恋に乱れるものですから,その妄執の夢を醒まそうと,
 夢を食べるという獏(ばく)の名に通じる博労町まで辿り着きました。
 この稲荷は,仏は水,神は波の関係を示す標しとして,
 屋根を並べて観音堂そして新御霊社があり, 
 ついに新御霊社(御霊神社)で最後の観音様を拝み終えました。
 
 その観音様は一切衆生(私たち人間)を助けようと,
 この世に,三十三もの姿を変えては現れ,
 色気で人間の心を導き,情で人間に教え,
 恋を菩提の架け橋にして,美しいあの世(浄土)へ渡して助けてくださいます。
 遊女のお初は,さながら,観音の化身なのでしょうか?
 観音様の誓いは尊くも有り難いものです。」

slate近松門左衛門の原文

「はや天王寺に六時堂、七千余巻の経堂に、経読む鳥のときぞとて。
 よその待宵きぬぎぬも、思はで辛き鐘の声。こん。
 金堂に講堂や萬燈院に灯す火は。
 影も輝く蝋燭(ろうそく)のしん清水にしばしとて。やがて休らふ。
 逢坂の関の清水を汲みあげつ。手にむすびあげ口すすぎ、無明の酒の酔ひさます。
 木々の下風。ひやひやと右の袖口左の袖へ。通る煙管にくゆる火も。
 道の慰み熱からず吹きて乱るる薄煙。空に消えては是も又。行方も知らぬ。
 相思草。人忍ぶ草。道草に、日も傾きぬ急がんと又立出る雲の足。
 
 時雨の松のした寺町に、信心深き心光寺。悟らぬ身さへ大覚寺。
 さて金台寺大蓮寺。めぐりめぐりて是ぞはや。
 三十番に。みつ寺の大慈大悲を頼みにて。かくる仏の御手の糸。
 白髪町とよ黒髪は恋に乱るる妄執の。
 夢を覚さん博労の、ここも稲荷の神社仏神水波のしるしとて、
 甍並べし新御霊に、拝みおさまるさしも草。
 草のはす花世にまじり、三十三に御身をかえ色で。導き情で教へ、恋を菩提の橋となし、渡して救ふ觀世音。誓ひは妙(たへ)に有難し。」

大坂三十三観音巡礼記おわり

2013/01/12

大阪の風情今昔/大坂三十三観音巡礼記その3:南森町〜天満橋編

※はじめてお越しの方へ。

はじめからお読みになられる場合は…
大坂三十三観音を歩いて大阪の街を再発見:その序章。
大坂三十三観音巡礼記その1
大坂三十三観音巡礼記その2
をクリックして順次お読みください。

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:: 『曾根崎心中』を読みながらの私の大坂三十三観音巡礼記です。
 今回は 第六番~第九番までですが,
 過去と現在が見事に重なるエリアで個人的に思い入れが大きいテキストです。
 ではでは進めていきます。

slateマークの部分は,近松門左衛門の原文です。

clubマークの部分は,私が勝手に現代語に翻訳・要約したりしたものです。
 
eyeマークの部分は,私の勝手なコメントです。

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★大坂三十三観音めぐり☆第六番~第九番★

slate近松門左衛門の原文

「東はいかに。
 大鏡寺草の若芽も春過ぎて、
 遲れ咲きなる菜種(なたね)や芥子(けし)の。露にやつるる夏の虫。
 おのが妻恋ひ。やさしや すしや。あちへ飛びつれ。こちへ飛つれ。
 あちやこち風ひたひたひた。
 羽と羽とを袷(あわせ)の袖(そで)、
 染めた模様を花かとて、
 肩にとまればおのづから、
 紋(もん)に揚羽(あげは)の超泉寺。
 さて善道寺 栗東寺。天満の札所残りなく。」

club私の勝手な現代語への翻訳・要約

「さて,東へと観音巡礼の道を進めて六番目の大鏡寺に着きました。
 草が若芽を出す春も終わり,
 遅れ咲いた菜種(なたね)や芥子(けし)の露を身に受けて,
 やつれた夏の虫である蝶々が自分の妻を恋う姿を見ると,
 「やさしさ」と「いきがってる」様子を感じます。
 その夫婦の蝶々が,あっちに飛び,こっちに飛び,風になびきながら,
 ひたひたと羽と羽を合わせて,
 袷(おわせ)着物の袖に染めてあった模様を本当の花と見違えて肩に止まると,
 自然と揚羽(蝶/ちょう)の紋となりました。
 七番目の超泉寺(ちょうせんじ),
 そして八番目の善道寺,九番目の栗東寺と,
 あますところなく天満の札所を回りました。」

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↑お初天神で大量に奉納された札は恋愛がらみが大半!!
 ハングル語や中国語で書かれた札も見かけます。

:: このエリアは天神橋筋商店街と交差する寺町通りです。
 一直線に観音巡礼が第六番から第九番まで続きます。
 残念ながら,このエリアも太平洋戦争末期の本土空襲でアメリカ軍によって爆破され,古い寺は一つもありませんが,近松の時代と今の時代がつながるような,まさに奇遇とも言える光景に遭遇しました。
 ここからは各札所ごとに写真で追っていきます。

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↑六番目の大鏡寺があったとされるエリアは,なんと今は花屋さん!!!!

近松のテキストでは,この寺を巡礼したあたりから,夫婦の蝶々が,花柄の女性着物の絵を本物の花と間違って女性の肩に止まった,と綴っていますが,まさか,戦争でなくなった寺の跡に花屋があるなんて!そこで蝶(ちょう)にかけた超(ちょう)泉寺はというと……

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↑今はその名残りもなく,マージャン荘があるといったところでしょうか?!
 余談ですが,私,近松門左衛門の,このエリアを紹介するテキストにあやかり……

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↑揚羽蝶(あげはちょう)ではありませんが,蔓結び蝶(つるむすびちょう)の紋を入れた黒紋付を誂えました!! 着る機会はほとんどありませんが。

さらに八番札所〜九番札所と続きます。

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↑八番札所の善道寺。

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↑九番札所の栗東寺はモダンなビル風の寺でした。

:: このあたりで時計を見ると午前9時頃。
 そろそろ暑さを肌で感じる時間帯になってきました。

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ここまでは近松門左衛門が生きた時代の風情なんて写真では全く感じないかもしれませんが,十番札所以降は少しずつ,そんな風情も登場します。

とまれ,何より,この大坂三十三観音巡礼は,曾根崎心中という作品を通して,そのテキストの素晴らしさを感じながら歩き続けて,昔と今の大阪を知る一日旅ではないでしょうか。

2011/08/29

大阪のモダンなカフェのウェブサイト。

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大阪でも文化的な香りが漂う西天満で,ひときわモダンなインテリアと,ガケ書房セレクトの本や,エルサウンドの小粋なオーディオシステムを楽しめる「カフェR」のウェブサイト制作に関わらせていただきました。

http://cafer.rapt-ure.jp/

↑こちらでご確認ください!

シェフパティシエが腕をふるうスイーツは,旨味の凝縮感だけでなく,ボリュームもあり,お仕事や街歩きの道すがら,美味しく味わえるのではないでしょうか?