2014/08/27

アジアにおける日本の立ち位置を考えさせられる一冊:「大川周明の大アジア主義」(関岡英之=著)。

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予断を許さない中東情勢や尖閣諸島問題がきっかけではなく、
ここ数年前からおぼろげながら関心があった「大アジア主義」。
とはいえ、これまで読んだ本といえば、
孫文と辛亥革命を支えた映画の日活創業者のひとりである梅屋庄吉や、
私心なく辛亥革命への献身を続け大陸浪人ののち浪曲師になった宮崎滔天(とうてん)、
さらには岡倉天心といった人にかんする書籍ばかりでした。

いっぽうで教科書的には「右翼の思想家」という括りがあったものの、
浅学ながらも「大アジア主義」を知るにつけ思想の左右に関係なく関心がわいてくる、
大川周明や頭山満。

というわけで手にした一冊は「大川周明の大アジア主義」(関岡英之=著)。

内容的には「大川周明を訪ねて」といった周辺の回顧録&人物伝的な色合いの濃い一冊だった。
あの東京裁判で東条英機の頭をポカッと叩いたことの真相等、
もっと振り下げてほしい部分も多々あったが・・・

欧米列強からのアジア諸国解放を唱えるうえで、
インド独立運動のみならず、アラブ(中東)諸国にまで見据えコーランの研究等にも余念がなかったこと。
太平洋戦争(大東亜戦争)を最後まで回避すべく奔走したこと、等々。

たんなる思想の左右を超えて世界を見るスケールの大きさを思うと・・・

昨今の政治家や言論人で、誰にそういった懐の深さがあるのか? ふと考えてみたりもした。

また「原発」や「TPP」、「地域主権」といった日本の課題を考えるうえで、
従来までの「保守/リベラル」や「右翼/左翼」といった二項対立の枠組みでは整理がつかないが、
ある意味、大川周明も、
そういった二項対立の枠組みを超えて日本および世界を見据えた人であったともいえようか。

いずれにせよ「大アジア主義」という「イズム」なれど、
そこに集った人たちが「口先だけのスローガンよりも誠実な人となりと信念」が、
国境を超えて世を動かした。

そんな「もうひとつの近現代史」に、
個人的な意見ではありますが「悪いロマンではない」と思う次第です。

2013/08/01

『TPP 黒い条約』(集英社新書・中野剛志編):開国というよりは、日本からアメリカへの新たなる参勤交代のはじまり?!

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『TPP 黒い条約』(集英社新書・中野剛志編)

TPPについて危惧する人々は、その本質をTPPについて知らない人に伝えようと賢明にメッセージを発しようとするあまり、うざったるがられたりしていないでしょうか(苦笑)? 

TPP関連の議論は至るところにあるので、勝手ながら私の思うところを。やれ「平成の開国」だとか「第三の開国」などと位置づけ、まるでアメリカと対峙しているように表現されることが多いけど、じつのところ、関ヶ原の戦いが終わった後の徳川幕府(アメリカ)と外様大名(日本)みたいな関係の強化もしくは総仕上げが、TPPってことでしょうか。

鳩山元首相の頃に廃止になった日米の「年次改革要望書」も、そのじつ、日本からアメリカへの参勤交代みたいなもので、アメリカからの要望は受け入れても、日本からの要望はスルー。その参勤交代での献上品は、いよいよ「日本の主権」だったり「医療分野の改革(改悪)」だったりする。

こうやって書くと、いかにもアメリカは謀略ばかり立てる悪者みたいに感じるかもしれないけど、そのじつ、アメリカ大使館のウェブサイトを見ると、政策関連のメニュー一覧には、日本にたいする「要求!」の書類が、堂々と日本語に訳され公開されています。しかも相手が誰だろうとブレない。で、それを読むと、むしろ何をいってるのかわからなくなるのが日本側の対応。アメリカ側にも日本側にも「憂慮」(爆)するあまりか、世間に流布する翻訳は「意訳」どころか「偽訳」とも思えるものも多く、これでは、ますます日本古来の「言霊信仰」(特に私が信じているわけではありませんが)も薄れるわけであります。

話を『TPP 黒い条約』に戻しまして、TPP以前にも以上のような流れが昨今の日米関係にあることを明快に書かれている関岡英之氏の「第二章 米国主導の「日本改造計画」四半世紀」を最初に読んでから、「第一章:世界の構造変化とアメリカの新たな戦略―TPPの背後にあるもの―」(中野剛志氏)と読み進めても、この本は興味深いかなというのが読了後の雑感。

最後に余談ですが、アメリカとEUとの間でも行なわれているTPPのような交渉が大もめにもめて、特にフランスが「自国文化の保守」を理由としているようですが、国際条約(TPP)が日本の法律よりも上にくるということは、文化の変容も余儀なくされる可能性大ということ。そういえばEUは会合等で各国に通訳がついて議論されるようですが、TPPでは日本語も非関税障壁なのでしょうね、すべて英語です。

これは全くの戯言として読み流していただきたいのですが、第二次世界大戦後、文豪・志賀直哉が、文法が整理され美しいフランス語を公用語にという「日本語廃止論」を唱えたこともあった。それ以前にも英語公用化論は議論されていたりするわけですが、フランス語に目をつけた志賀直哉は、フランス語に「憧れの文化」までをも見たのかもしれない。まあ、到底、日本国内では受け入れられない志賀直哉の「日本語廃止論」ではありましたが。



2013/05/21

「反・幸福」=「吾唯知足」(われ、ただ足るを知る):『反・幸福論』(佐伯啓思=著)

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こういうタイトルにはピンとくるという一冊『反・幸福論』(佐伯啓思=著)
どうも自分自身は「ポジティブシンキング」だとか、
一方的な方向ばかり見るのが苦手ということもありますが。苦笑。
いや、たいして世間的な「幸福」には恵まれていないだけか?!

そんな個人的な余談はさておき……

世間の景気は「悪い」よりは「良い」に越したことはないけど、
一歩間違うと、
倒産前の会社が社員への不安を一掃するとき、
まるで組織改編するかのごとく新提案だの会議だのを上層部が打ち出すがごとく、
一本目、二本目、そして三本目の矢を放とうとする「アベノミクス」。

再び新自由主義路線盛りだくさんな提案がなされ、
小泉純一郎政権のときよりも、
確実に「痛み」を伴う人が増える可能性大です。

なのに見せたくない部分にはフタをしようとしてると思わずにいられない部分もままありますが、
かくいう自分を含めた国民自身も「本当のところ」は見たくないという「肝心なことは先送り」的思考こそ……

そのじつ「なんとなく幸福でありたい」という強迫観念ではないでしょうか。

ちょっと極論じみてるかもしれませんが、
自分達の置かれた状況を見据える前に、
「第三の開国!」などと言って、
良い方向だろうが悪い方向だろうが、
外圧(ガイアツ)によって尻を叩いてもらわないと現状を打破できないというのも困ったもの。

だけど、
かつてのような「年功序列」や「終身雇用」も崩れつつあり、
努力して勤勉に勉強し働けば必ず報われるとはいえなくなった昨今。
一昔前から……
高収入・高地位かつ最難関試験の突破者と言えば法曹関係の方々ですが、
今や弁護士の約2割が年収100万円以下(ちなみに経費を差し引いた所得)と聞いて驚きを禁じ得ませんでした。

日本という国だけでなく私たち一人ひとりも、
その立ち位置を決めるタイムリミットを迎えていることだけは間違いないようです。

で、「反・幸福」ということですが……
これは「不幸」を意味することではなく、
「幸福」という漠然とした、極めて不確実な人間製の概念に振り回されず、
ギブアップという意味ではない「諦め」(道理をしっかりと見据える)を大切にして、
自分の足だけで立ってるのではなく、
長きにわたって育まれた自然や文化や環境のなかで生かされ、
そして周囲の人々の「おかげさま」もあって生活している。
そんな気持ちを大切にしたい。

なんて偉そうなことを言ってみたりもしましたが、
今、何でもいたずらに「変革」を求めることに「?マーク」が点灯している人であれば、
この本のイイタイコトには共感できることでしょう。

余談ですが「デフレ脱却!」と声高に叫ばれていますが……
あれだけ浮かれて高級ブランドを分割払いで買うのがあたりだったバブルの後期には、
すでにダイエーで39円の「セービング・コーラ」が売られていたり、
多くの小売店も営業時間をどんどん伸ばしサービス残業も今よりも多かったと思う。
工場内では今や世界でも通用する「カイゼン」(改善)あって生産性が上がり、
品質や価格的に世界で競争力のある商品が多々誕生したものの、
「高すぎる生産性」というのも、ある意味、デフレの要因の一つでもあるわけです。
何でもたくさん「欲しい!」と思うその裏側で、
泣いてる人、苦しんでいる人がたくさんいうという想像力はもっていたいところです。

2013/05/16

『コレキヨの恋文』:日本の未来は描かれたように展開するのか?

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昨年、出版された本ですが『コレキヨの恋文』を読了。

著者は三橋貴明、執筆協力はさかき漣となっていますが、
このコンビの他の書籍と三橋貴明単独の書籍を見れば、
この本も「三橋貴明=原案」「さかき漣=執筆」と思っておいてよいだろう。
だからといって三橋貴明がゴーストライターに書かせているというわけでなく、
本書で「イイタイコト」は三橋貴明が日頃展開している議論そのもの。

ちなみに、三橋貴明自身は、以前に自民党から参議院選挙の比例区で立候補したこともあり、
本書内では民主党や社民党の議員が、まるでヒール役のような描かれぶり。
そんな党利党略的な部分が見え見えな作品なれど、
登場人物で予言していたかのような描かれ方をしているのが……

元首相で財務大臣の「朝生一郎」。

現政権で言えば、副総理 財務大臣 金融担当大臣でもある麻生太郎そのもの。

この本が出版された当時は、まだ民主党政権だったことを思うと、
今、アベノミクスと称されている戦略を含め、
政権が交代したときのブループリント(青写真)は、
国会議員以上に、彼ら・かの女らの周囲を囲むブレーンによってアイデアが吹き込まれている部分も多分にあるということの証左でしょう。

余談はさておき、この小説で民主党から政権を奪還し総理大臣に就任するのは、
政治の世界は無知ともいえる30代の弁護士資格をもつ霧島さくら子。
現自民党政権も重要な政策課題としている「デフレ脱却」が本書でも一大テーマとなっており、
その指南役が、総理大臣官邸の庭で幻想的に(ここが小説の真骨頂!)に現れる高橋是清。
日銀総裁、内閣総理大臣といった要職のみならず財務大臣に6回も就いていたことは、
私も「コレキヨの恋文」で恥ずかしながら初めて知った。

今日のアベノミクスといわれるものも、そのじつ、第一の矢や第二の矢は、
世界恐慌や昭和恐慌と呼ばれた時代の教訓(高橋是清の政策)を継承するといったもの。
とまれ、その詳細は、興味を持って読む方がおられれば「コレキヨの恋文」で確認してください。

一国の将来を託された内閣総理大臣たるものの評価は、
この本でも高橋是清に「能力や才能よりも施した政策の結果」と言わせているが、
要するに、就任する人にもよるといえども、
内閣総理大臣の判断は周囲の知恵袋次第で如何様にもなるとも解釈できはしまいか。

かつて、政治の世界は「魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈している」などといった表現がよく使われていた。
人に害を与える化け物が政治の世界にはウヨウヨしているという意味だけど、
害を与えるかどうかはさておき、例えば、産業競争力会議と称される場で、
国政選挙で選ばれたわけでもない民間議員とも呼ばれる有識者委員が、
国会議員なみに主義主張を唱えていたりする。
この方々が、どこまで「私利私欲」を離れて会議に臨んでいるかについては疑問符が付く。
そして人選にかんしては、
「人選産業競争力の強化及び国際展開戦略に関し優れた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が指名する」ことになっている。

ちなみに、昨今話題になっているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)には諸手を振って賛成する「自民党の知恵袋の一派」とも言える。

そのいっぽうで、もともと自民党は、
2012年末の衆議院選挙のポスターでも「TPP反対!」と堂々と掲げていた。
現状は定かではないが、200名以上の自民党議員が「TPP交渉参加反対」派とも言われていた。
その周囲には、産業競争力会議に選ばれたメンバーとは意見の多くが相容れない「自民党の知恵袋」がいて、
そのなかの一人が『コレキヨの恋文』の著者であると言って過言ではないでしょう。

この本は、今後数年間の理想的政局を政権交代前に小説として著したともとれる内容です。
現時点では方針が明確といえない「第三の矢=成長戦略」が今後どう進んでいくのか? 
TPP参加に反対する立場からの理想がフィクションとして展開されている「コレキヨの恋文」だけど…

ここにフィクションとして描かれているような……

「日本のTPP参加交渉離脱以降、TPPは自然消滅に向かい、元通りの4カ国に戻る」
「アメリカもニュージーランドやオーストラリアからの農産品の輸入拡大を受け入れるのは困難であることから離脱濃厚」
「日本が経済成長路線へ復帰した結果、防衛費が増額され、それに基づきアメリカからの軍需産業の輸入拡大によってアメリカの雇用状況も改善」

といったことが、現実の世界ではどういう結果となるのか?

とまれ、小説としての『コレキヨの恋文』はファンタジック(和製英語!)な政治経済小説。
特に終章「是清からの恋文」は、
霧島さくら子のみならず現代の人々に向けてのメッセージともとれる文章となっており、
一種の涙を誘うような筆致です。
詳しく書いてしまうと読む楽しみがなくなるので興味のある方が本書で読まれることを望みます。

追伸:
アメリカ国内でもTPPに懐疑的な層が増えているそうです。
詳細は以下のYou Tube動画で。
前半は孫崎享氏、後半は山田正彦氏。
山田正彦氏の講演のほうで最近の訪米後の事情を話されています。

http://www.youtube.com/watch?v=qHlmCn1I1Bc


2013/04/23

名古屋市長選挙のポスター:河村たかし・男の背中

Dscn3300瀬先週,所用で名古屋へ行ったとき,
いたるところで見かけた市長選挙のポスター。
選挙も終わり,
もう掲載しても問題ないので,

今更ですが……

圧勝した河村たかし市長です。
市民税5%減税との主張は,
行政側にとってはマイナス要因かもしれませんが,

そのじつ,庶民からすれば,
気分的に「消費できそう」といった趣のような気がします。

そんなことはさておき、
このポスターで印象的だったのが……

おなじみドラゴンズの帽子をかぶり自転車に乗った河村たかし氏のイラスト。
ニッコリ笑ってVサインなんかだと嫌らしさを感じますが,
この後ろ姿というのが私にとっては高ポイントでした。
人生を背中で語ってくれてるといったところでしょうか?!

Dscn3301_2それにしても「気さくな64才」って,
実年齢よりも「気さく」という形容が,
なんとも引きつけられるというか,
じつは知名度だけでなく選挙戦がうまいと思った河村たかし氏でした。


2013/03/08

大阪の迷菓!!「面白い恋人」とパロディ:TPPに参加しても、このユーモアは通じるか?

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先日、所用で大阪へ足を運んだ折、何気なく駅入口のショップに入ったら、即座に目に飛び込んできた「面白い恋人」。あれこれ説明するまでもなく、北海道旅行のおみやげとして有名な「白い恋人」のパロディー洋菓子のことですが、「白い恋人」の石屋製菓側と「面白い恋人」を企画した吉本側とが和解したこともマスコミで報道されていました。

そんな前置きはさておき、「おもしろい恋人が新パッケージになります」というので、好事家精神を発揮して今更ながら購入。

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http://www.ishiya.co.jp/item/shiroi/details/
↑こちらは「白い恋人」について書かれた石屋製菓のウェブサイト

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あらためて比較してみると商品名とパッケージデザインは、絶妙な「ずらし」具合を発揮していていますが、並べて売ったとしても、例えば、京都の伝統和菓子にありがちな「本家」「元祖」を商品名の冠につけつつも、見た目と商品名は同じというのとは違います。

で、肝心のお菓子のほうですが……

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「みたらし風味」のゴーフル(ゴーフレット)で、意外とクセになる味わいです。「みたらし」というよりは、メープルシロップときな粉をミックスしたような味わいといったほうがマッチするでしょうか?! ですので、肝心の中味は全くの別物であります。

閑話休題。そんな「面白い恋人」というパロディーですが、フランスでは、パロディーは立派な文化的表現と認められているようで、たとえば名作のパロディー本にしても、表紙にいたるまで「面白い恋人」のようなパロディーに溢れていたりします。それでも、法廷で争われることはないようです。

今、日本では「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加」について、侃々諤々の議論が展開されています。が、2月末の日米首脳会談後、安倍首相からは「TPP交渉参加を決断した」とは一言も言っていないのに、メディアによっては、あたかも「交渉参加」ではなく「参加」するような表現だったりします。

テレビや新聞などのマスコミ報道では、「農産品をどう守る?」「甘やかしていた農業を外圧で鍛え直すチャンス」などど、まるで農業問題のように矮小化していますが、このTPPは、単に物の流れが変わるだけじゃない。

今回のパロディ騒動のような「商標権」や「著作権」も対象になってきます。もちろん、TPPに参加しなくても、商標や著作権を侵害した場合は国境を超えて訴訟を行なう場合が間々あるものの、TPPが「戦略的経済連携協定」であるかぎり、これまで以上に他国からのチェックが厳しくなっていくことでしょう。

「面白い恋人」騒動では和解が成立していますが、仮にTPPに参加して同じようなパロディ商品を参加国が製造している商品をもとにして製造・販売した場合、今までとはケタ違いの損害賠償が発生する場合だってあります。というか、パロディでなくても、どこか「類似しているような部分」を見つけ、それをTPP参加国における共通のルールで裁くことだってありうるでしょう。

「戦略的経済連携協定」なので……

企業の倫理(グローバルルール?)>国の法律

という図式も大いに成り立つので、日本の法律だけでは対処しきれないことも多々発生することでしょう。

ちょっと本題の「面白い恋人」から話題がそれてしまいましたが……

なんと「面白い恋人」に懲りず……

今度はお菓子のほうが類似品と訴えられても不思議ではない……

「大阪の恋人」「京都の恋人」

なる商品を展開しています。

今後も、同じような争点が発生するのでしょうか?


2013/01/13

痛くない社会づくり「ベーシックインカム」:『働かざるもの、飢えるべからず。』

Dscn1623『働かざるもの、飢えるべからず。 ベーシック・インカムと社会相続で作り出す「痛くない社会」』

小飼弾著/サンガ/2009年


まず,ベーシックインカムのことを全く知らない方のために,wikipediaによる説明を一部ひいてみます。

ベーシックインカム (basic income) は最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想。基礎所得保障、基本所得保障、国民配当とも、また頭文字をとってBIともいう。フィリップ・ヴァン・パレースが代表的な提唱者であり、弁護者である。しかし少なくとも18世紀末に社会思想家のトマス・ペインが主張していたとされ、1970年代のヨーロッパで議論がはじまっており、2000年代になってからは新自由主義者を中心として、世界と日本でも話題にのぼるようになった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ベーシックインカム

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これまでインターネットの記事や動画配信で,たびたび目に耳にしてきた「ベーシックインカム」。ただ、これまでベーシックインカムにかんする書籍は一度も読んだことがなかったものの、「私のようなプログラマーが多くの人から仕事を奪った」と以前にインターネット放送で発言していた小飼氏の著作ということと、「IT業界の慈悲心とはいかなるものか?」という好奇心もあり、手に取り読了。

まず、この本を読む上で大事なポイントは、「ベーシックインカム」という社会政策の利害得失を知る事はもちろんのこと、本書で展開される子飼氏が持っている生命倫理観や所有の概念は、たぶんに仏教的であるということでしょうか。

■人間は、なにも作ってない

「第1章 なぜいま、貧困があるのか」では、いきなり「人間は、なにも作ってない」という前提からはじまります。これは神が人間を創造し、人間に自然の支配者としての地位を与えたキリスト教の考えとは、真っ向から対峙します。根源をつきつめてきけば、「人は生きていくのに必要なものをいっさい作っていません。作るのはあくまで植物であり、環境であり、自然であって、人はその上前をかすめているだけ」という。自然を人間の上位にもってくるのは、仏教のみならず東洋的な思考ともいうべきか。

そういえば、よく「この世のものは全部借り物。死んであの世にもっていけない」という言葉を、かつて老人からたびたび聞かされて久しい。聖徳太子の言葉とされる「世間虚仮、唯仏是真」(世間はむなしく仮のものであり、ただ仏のみが真理である)という教えがまさしく老人達がいうところであるが、「唯仏是真」という部分については、他の書籍等に譲るとして……

「痛くない社会」を作っていくためには最大の「煩悩(欲)の素」ともいえる「カネ」を、どう人間と社会が扱うべきなのか?

■「より良いものを、より安く」という呪縛

小飼氏によれば「より良いものを、より安く」という「みんなの総意」が、ますます冨を一極集中させてしまっているのだという。消費する場が、地元の商店街からショッピングセンターへ、あげくの果てには、ショッピングセンターからアマゾン(他にも楽天などもあるが)といったインターネット販売へと変遷しているのは、その証左。これでは、ますますカネが回らなくなってしまいます。

余談ですが、深刻な経済危機に陥っているギリシャでは高級車ポルシェの所有所有台数が一番多いとも言われています。なんでも、経済が困窮状態なら、カネで持ってるよりもポルシェを持っとけと、実に楽観的な考えでローンを組む人も多いとか。見事なまでの「煩悩(欲)の花満開」といったところですが……

ギリシャと正反対ともいえるのが日本の社会および人間。年収200万円以下の低所得者だけでなく、年収1000万円クラスの家庭でも、低価格の代名詞といもいえるユニクロで買物し、せっせとカネを貯めこんでいる人は少なくないのではないでしょうか?

しかし、です。どこまで使えるかわからないポルシェを買うためにローンを組むのも「煩悩(欲)」であるならば、自分のためだけでなく家族のためとはいえ「出費を節約してカネを貯める」ことも、これはこれで立派な「煩悩(欲)」です。

■安物買いの銭失い

節約した人がカネを貯めこんだために「カネが社会に回らず」貧乏になる人が必ずいる。その成れの果てに近いのが、今の日本。ここまでデフレが進展してしまったのも、そのじつ、小飼氏の言う「より良いものを、より安く」から「より安く」のみが一人歩きして、「安く買えるのはいいことだ」と心に言い聞かせる事で、ますます「安物買いの銭失い」になってしまっています。

ここで私がいうところの「安物買いの銭失い」とは、「 安物はものが悪く長持ちがしないから買い直したりしていると、かえって高くつく」という本来の意味のほかに、「ものが安くなればなるほど、ものを作る人やものを売る人の所得が減るだけでなく、もののコストを下げるために会社が大規模な合理化やリストラをすることで失業者が増える」ということも意味しています。

まるで、エサがなくなったタコが、自分の足をエサがわりに食べてしまうようなものです。

さて、話を『働かざるもの、飢えるべからず。』に戻しましょう。

■一生懸命になれることを見つけて人と分かち合う

ここまでけっこうな紙幅を割きましたので、多くのことを割愛してしまいますが、では、一極集中した冨を社会に還流するにはいかなる方法があるのか?

一つの方法として、小飼氏はカネをはじめとする財産を所有する人が亡くなったとき、その相続税を100%としてベーシックインカム公社集めて個人に再配分するという、じつに大胆な提案をしています。なんでも、年間110万人の方々が亡くなられますが、現在では約80兆円、2020年には109兆円になると見込まれるようです。これらの相続人を国民全員とした場合、一人当たり年間64万円。月あたりに換算すると約5万円となり、おおよそベーシックインカムの相当額となります。

次に、問題となるのは「仕事」についてですが、ここはプログラマーらしい発想といえばいいでしょうか。たとえニートであっても「ベーシックインカムで食うに困らない環境で、無我夢中になれることを見いだせばいい。それがときには仕事として実を結んだり、いろんな人に分け与えてられる」という考え方です。紋切り型の「就職して汗水垂らして働いてカネを稼げ」という考え方とは180度異なります。

ちなみに優秀なプログラマーや事業家に「もしなりたい」とすれば「時の運」や「才能」に左右されることもありますが、小飼氏は、働く人(努力して成功する人)がいる一方で働けない人(努力が報われない)もいないと、今後の日本の労働環境では人間が社会で共生することが難しいと説いています。一人ひとりが努力して勤勉に働けば働くほど、さまざまな能力の人達でワークシェアリングをすることが難しい昨今です。

極端な言い方をすれば、成熟した消費社会には、人と人の絆や喜びや生き甲斐や生活の糧を分け与えられる、上手な消費専門家がいてもいいといったところでしょうか?!

■今日は人の上、明日は我が身の上。努力が報われるとは限らない

ここまで、読んだ本のレビューとしては著者が言いたいことの本質からかけ離れてしまっているかもしれませんが、ベーシックインカムを採用することは、そのじつ、個々のカネの使い道については「本人の自由」という一方で、使い方に失敗すれば「自己責任」を問われかねません。

「所有」から「利用」へ。カネのみならず全てのことで、特に日本では考える必要があるテーマかと思いますが、未来への不安ばかり募らせる日本および日本で生きる人々なので、ベーシックインカムを導入する場合に避けて通れないのは、いかにして「相互扶助」を、(昔のように)取り戻す!ではなくて、ごくごくふつうに浸透させるかにあります。

しかしながら、これだけ物質的に恵まれていながら、幸福度が低く、未来への不安をいっぱい抱えてしまう日本の社会と人々。小金持ちはますます貯蓄に精を出すことで、ひとまず安心してしまいます。そんな現実を鑑みながら話を進めましょう。

基本的に老若男女一律に支給されるベーシックインカムの使いみちは自由なので、従来の「社会保障」とは異なります。また生活保護も年金といった社会保障も、全てベーシックインカムで一元化されるという考え方が主流です。なので、もしベーシックインカムが導入されれば、手続きが簡略化されるかわりに、これまでならカテゴリー別に受給できた様々な社会保障の枠が撤廃されるので、ベーシックインカム導入後、手にするカネが少なくなる人が増えるかもしれません。そのいっぽうで、ベーシックインカムという「言葉」を与えられただけでも、その用途や人間そのものの生き方、さらにはカネの価値について議論するきっかけにもなることでしょう。

なにせ「働かなくてもカネがもらえる」わけですから、カネの概念が大きく転換する可能性も考えられます。

とまれ、この日本で生きている限り、ソフト面・ハード面いずれにしても、社会的なインフラを、いかにして利用するかということも重大なテーマです。『働かざるもの、飢えるべからず。』では「いちばん大きなやつに持たせてみんなで使うのがいちばん得」という項目を設けて、「公共のものは無条件であるべき」としていますが、ここでは「だれに持たせると効用が最大になるのか」という点から、民営と公営(国営)を振り分けよといった説明がなされています。

個人的には現在における「効用」のみならず「(過去~現在~未来)という時空を越えて良好に持続できる存在」であれば、現時点での効用は最大でなくても、後世に伝えていくことで生かされる事は多々あるかと思います。

その点においては、小飼氏のように「いまと100年後とどっちがいい」と問われれば「未来のほうが間違いなくいい」と100%言い切れません。が、仏教でいうところの「無所得」……何ものにもとらわれない/執着から離れた自由な境地に達するまではいかなくても、汗水垂らして稼いだカネではない最小限のベーシックインカムゆえに、多くの人がバブル期の異常さとは異なるカネ離れが、人々の心に芽生えるかもしれません。

■「節約」ではなく「節度」なくしてベーシックインカムは導入できず?!

いずれにしても、小飼氏の「イイタイコト」には、耳を傾ける点が多くありました。ただ、バブル経済を余韻があったからこそ、「所有する人」は、決して仕事や所得を「所有しない人」とシェアしようとぜず「過剰」を貯め込んできたかと思います。個人金融資産残高は2012年6月で、なんと1159兆円です! なのに貧富の差は拡大する。そして社会全体で「過剰」を貯め込んだ結果、日本は長期のデフレ経済になりました。

いっぽうで国家財政においては「財政赤字」という形で「過剰」は蓄積しています。政府の債務残高は1124兆円(2012年6月)にまでふくれあがりました。

政府の債務残高が「過剰」を脱することだけでなく、個人金融資産残高が政府の債務残高よりも上回るようにしつつも両者の「過剰」を脱しないことには、ベーシックインカムの導入は厳しいと思うのは私だけでしょうか?

2011/04/27

福島産を支援:「天明 純米本生」

:: 今,「福島県産」と名がつくだけで…飲食物を敬遠する人が多いかと思われますが,

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↑先日,会津坂下町の「天明 純米生」を購入。
ちなみに,福島県西部の会津では,放射線量の値は東京とほぼ同じだそうですが,
(4月27日時点では不明)
福島県から来た人を拒否する,ある種,放射能汚染にビビっている,
心の狭い宿泊施設があるぐらいですから,

今後もなお福島県の食品関係は,かなり苦境に立たされると思われます。

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↑よく見ていただきますと,出荷は,今月です。
ですから大震災や原発事故が起こってから関西に届いたものです。

ちなみに,あるブログの「酒蔵被災情報」によると…

「【天明(福島県)】
蔵元・従業員に怪我はありませんが、商品に被害が出ました。
商品を貯蔵しているプレハブ冷蔵庫の中はかなり散乱しているとのことです。
出荷の目処はたっていません」

と書いてあったので,ある意味,購入した酒は貴重なものかもしれません。

http://ameblo.jp/aki-agari/entry-10831282376.html

とまれ仕込みは昨年末〜2月ぐらいにしているでしょうし,
放射能うんぬんは全く問題のないものです。

でも,これから世界中の人々が「福島産」というだけで,
一切,口にしなくなるというか…各国の輸入は現時点でストップしていますから。

ちなみに味わいですが…
前回に紹介した宮城・栗原の「綿屋」同様,こちらも非常に出来が良いです。
華やかな香りはありませんが,
無濾過生原酒とはいえ,丁寧に槽で搾られているからでしょう。
とても柔らかい「綿菓子」のような甘みの口どけ?!を感じです。
でも,甘みのわりにはキレの良い酒質です。

過去に一度飲んだことがある酒ですが,
店の商品説明では女性杜氏で3年連続金賞受賞との事。

テレビでも福島の酒蔵のピンチが紹介されていましたが,
なんでも昨年は20もの蔵が全国の鑑評会で金賞を受賞している福島。

この酒も土壌からしっかり検討して減農薬・減肥料で栽培された
会津産の五百万石という米が使われていますが,
福島第一原発の動向次第では,
この先,飲めるかどうかも不透明です。

被災地への直接的行動も大事ですが,
こういう風評被害で苦しんでいる地域の物こそ,
進んで購入してあげることも大事なのでないでしょうか?



2007/11/27

NOVA破産で英語を考えてみた。

★私が「英語」について思うこと。


☆まず私自身の英語

・大学へ入るために必要な英語の成績は良かったかもしれない。
 (後後は使い物にならない偏差値という点で)
・しかし「発音」にコンプレックスがあるため,
 「会話」としての英語は全く苦手である。
・イギリスに少し滞在していた頃
 かなり多くの人に「あなたの英語の発音はBad」と言われた経験を持ってしまった。^^;
・とまれ,頭が「英語受け入れモード」になると,
 英語でのメールのやりとりは全く苦にならない。
・日本国内では,日本で仕事や生活をしている英語圏の人に対して英語を使う事は,
 ほとんどない。相手が,私の話した日本語を知らない(理解できない)場合は,
 それに相当する英単語を話す程度。
・英語を話すのは,日本語ができない外国人の友人が日本に来る時ぐらい。
 ただし1、2年に一度は,一日中,英語だけの会話という日がある。
 そのため「年々英語力が低下」していることを如実に感じる。

 といっても,最近の関心は・・・英語以上に

 「自分自身の日本語の貧困さ」

 にあります。^^;

☆本当に英語は世界の共通語なのか?
 それは「世界で一番戦争が強い国の言語」だから?!
 以前,イラクを攻撃したアメリカについて,
 日本に来ていたイギリス人の友人が意見を求めてきたとき・・・
 私は,こう言いました。

「人を殺す爆弾を落とさなくても,
 英語という有益な言葉の爆弾で
 世界中の人の心を支配できるんじゃないの?!」

 気まずそうな顔ながらも
「それは当たっている」と言ってました。

 それと・・・よく
「自分の国の言語は,英語より難しい」
 と誇らしげにいう輩が・・・日本人に限らずいますけど・・・
 残念ながら「簡単で合理的な言語」のほうが,
 より世界中の人がトライしやすい道具(ツール)であるはずです。

 昔,日本でも
 「表記はローマ字で」「表記はカタカナで」
 と国際的言語としての日本語を考える人々は提唱していましたけど・・・
 世界共通語の一翼を担うことを主眼とすれば,
 かなり日本語も合理化しないと・・・
 一部の「日本文化オタク」および「日本は仕事相手」的な人が學ぶ言語であり続けるでしょう。

 ちなみに,私は,ローマ字やカタカナだけにするのがいいとは全く思っていませんが・・・

 例えば,カタカナ表記の外来語で「L」や「R」を区別できるような,
 発音記号的なマークをカタカナに採用してほしいと思っています。
 

☆もしかすると「ルー語」がうまく話せれば,
 とりあえず「道具(ツール)としての英語」としては十分ではないか!
 もし英語が全く苦手な人なら,まずはルー大柴のセンスを見習えばいいのではないか。

 とりあえず,日本語を話せない人とコミュニケーションをするための手段として
 英語を使うという発送に立てば・・・

 どんなヘタでも,多少,文法が悪かろうが,
 「思い」が通じればいい。
 そういう発想に立ってもいいのではないか。

 「心」と「心」の通じ合いは・・・
 流暢な言葉使いだけじゃないはず。
 いくらサービス業とはいえ,
 空港やホテルで職員が話す英語って事務的に聞こえませんか?
 
 そして・・・中学校からの外国語教育を「英語」に一元化させず,
 何カ国か選択の自由を与えて・・・
 自分で興味が持てそうな文化圏の言語を學べばいいと思う。

 アルファベットが全くダメでも
 漢字なら得意!
 カンフー映画マニアや韓流オタクなら・・・
 けっこう楽しんで


※なんだか長くなってきたので・・・気が向けば続きを書きます。
 (つづく。たぶん。苦笑)


2007/06/12

戦争したくなかったら読むべき漫画:「はだしのゲン」

京都/広島/小倉/新潟・・・これらの街は,何の候補地だったか,知ってますか?

《原子爆弾》の投下予定地だった都市の名前です。

ちなみに・・・京都の街も,少しではありますが・・・アメリカ軍から爆撃を受けています。
市内でも今熊野あたりに投下されているということなので・・・三十三間堂からも比較的近い。

そして・・・ふと思い出したのが・・・
イギリスにある戦争博物館で見た日本のロケット特攻機「桜花」でした。
その「桜花」の横には,原爆を投下したアメリカの爆撃機「B29」も展示されていました。
見た瞬間・・・何とも馬鹿(バカ)げた人間爆弾だ!と素直に思いましたが・・・
驚いた事に・・・アメリカ軍は「桜花」のコードネームを「BAKA」としていたようです。

http://www.geocities.jp/bane2161/ouka.htm
↑ここに「桜花」の説明あり。

若き戦士の死を「桜の花びら」に喩えることが多いですが・・・
「桜花」で出撃する特攻隊員に桜の花の枝を手渡す写真まで有るというのですから・・・
なんだか・・・桜を見ると・・・寂しささえ感じてしまうわけであります。

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そんな余談はさておき・・・小学生の頃,母親に初めて連れて行かれた映画が,
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」ならば・・・
寺の坊主の息子に誘われていったアニメ映画の次に見たのが・・・「はだしのゲン」。
「釣バカ日誌」のスーさん役・三国連太郎氏は,この映画で初めて知りました。
その映画の原作ともいえる漫画の「はだしのゲン」ですが・・・映画を見た後,
漫画を買って,何度も何度も読み返しました。

そして,ふと,また読みたくなって,先日,購入。
ストーリー展開はわかっているものの・・・年齢がかわると・・・読み方もかわってきますね。

反戦思想を持つ立派な父親の家庭で・・・
周囲の人からは「非国民!」とバカにされたり,差別されながらも・・・
家族が助け合って,貧困と屈辱に耐え抜く。

ただ.そんな家族愛も・・・一発の原子爆弾で粉々に引き裂かれてしまう・・・。
全編を通して・・・読む人によって「左翼思想」と取られるストーリーと台詞の展開が多いものの,
原子爆弾が投下されて・・・皮膚がドロドロになって死んでいく人たちや,
家の下敷きになって,父親や姉,弟が,火に巻かれて死んでいくシーンは,
それを現実に体験した作者がリアルに映し出した描写でもあるだけに・・・
初めて読む人にとっては・・・かなりグロテスクかつ汚く見える描写かもしれません。

でも,それは・・・過去にあった人間の現実です。
「核武装とは何か」を知るためには・・・一番,身近でわかりやすい漫画だと思います。

ちなみに,英語等・・・いろんな言語で翻訳されていますが・・・中国語版はないようです。
その理由は・・・「核武装にとって都合が悪いから」とか・・・。

とまれ,この「はだしのゲン」,
小学生でありながらも,生きるための知恵を駆使して生きていく主人公のゲンの姿は,
読んでいて・・・重い内容ながらも,現代人に勇気を与えてくれる。
そんな漫画です。

以前,ロンドンで,イギリス人の友人のアパートに居候していた時,
「はだしのゲン」の英語版を,偶然に書店で見つけ,友人に渡しました。
すると翌日・・・
「一晩中読んで・・・涙が止まらなかった」と言っていました。
やはり思う/感じる事は,国籍を問わないようです。

そして・・・徴兵制のある国では・・・男が凛々しくなるという主張をする有名漫画家がいますけど・・・
本当にそうなのか? 確かめたいところです。
世の中,「男性的」すぎても・・・結局は争いごとばかりじゃないですか?!

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