2013/01/10

身近な日本文化体験「私は日本人になる」:Kelly Osbourne / Turning to Japanese

2909688_1228196544_136large_3とある日,ふと目に入って購入した「私は日本人になる:Turning to Japanese」というDVD。 vol.1とvol.2があって,今日は一つ目のDVDを紹介します。

元Black Sabbathのボーカリストであるオジー・オブボーンの娘が,イギリスのテレビ番組の企画で来日し,メイド喫茶,ラブホテル従業員,コスプレイヤーとしてイベント参加,尼僧,人形供養,芸者 ...etc, 短期間で日本人ですらほとんど体験できない「日本の文化」にチャレンジしていました。

批評めいたことは極力へらしつつ, コンテンツに従って紹介してみましょう。
著作権上の関係で,映像は掲載できませんので,ケリーらのコメントを一部抜粋してみます。

●まず初日は「メイド喫茶」でメイドに挑戦!

「かの女は一言も話せないからつまらない」(客)
「大きな言葉の壁があるから楽しめないし…ワタシにはなんだか性的な行為に感じた。妙にエロっぽいというか」(ケリー)

いくら父上が奇行で有名なミュージシャンとはいえ,意外にもマジメな発言が続きます。

ケリーの推論の正否はさておき,醒めた目で現代の日本の風景を見ると,本当に「過剰に性的」というか「エロっぽい」と,海外から来た人から思われてもムリはありません。

たとえばプリクラのブース。

2909688_1228196736_70large_2
2909688_1228196741_12large_2

これ,日本に住んでる人が見たら普通の光景かもしれませんが,海外から来て突然これを見たら売春の部屋と勘違いする人は少なくないと思われます。実際,そんな発言をした西洋人系の女性もいました。
そのぐらい日本の大衆文化は「目に見えて性的なものに寛容」です。

ちなみにオズボーン一家は,税金の滞納のため家等の財産を差し押さえられましたけど,その後はどうなったのでしょうか?

●そんな余談はさておき,私とケリーの共通点ならではの印象深かった体験(剣術の儀式)。

「ワタシは左利きだけど右利き文化だし」(ケリー)

左利きであるために,右利き中心の作法に苦しむケリー! いやはや!右利き社会というのは,日本もケリーの母国であるイギリスも一緒だけど。

ある意味,文明化や高度な産業社会化が右利きであることを加速化させた部分も多いが… ここでの議論は割愛します。

●驚く事にラブホテルの受付と掃除も体験。

彼女がどう思ったのか想像がつくと思われますが…

「もう二度とラブホには行きたくない」

●さらにはコスプレイヤーとしてイベントに参加するものの…

「上目づかいで無邪気な顔は変だわ」
「ひざをついて足を開いた姿を撮るって……漫画を題材にしたポルノ映画で役を演じている気分」

男性のカメラオタクにセクシーなポーズを要求されて,とてもナーバスになった,奇行ミュージシャンの娘!

とまれ,今,こういうのが「cool japan」とか「japan cool」の中核ですね。 こういうと語弊があるかもしれませんが,日本って,善かれ悪しかれ,じつは性的な表現に寛容な国なのかもしれません。

:: このあと,ゲーセンや尼僧体験もありましたが割愛して…

●一巻目の最後は「人形供養」体験。

ケリー・オズボーンも,安物の人形(笑)をむりやりクシャクシャにして供養します。 ちなみに,日本における人形供養では,古くは安産や子授け,子のすこやかな成長を子の身代わりとして奉納し供養することが多かったですが,他にも,家族の健康や幸福,大事に(反対に要らなくなった)人形への感謝やご恩を感じながら供養するという意味合いもあります。

「この国は変なことが多いけどだから面白い」(ケリー)
「人形を焼くなんて邪悪でいいわ」
「日本には性的に行き過ぎた変態チックな面もある……でもこの供養で気づいたの。献身的で情け深く親切な人達でもある」(ケリー)

ようやく日本人ですら忘れてしまいそうな,庶民の「愛でる(愛でた)事や物へ慈しむ心」をイギリスITVが紹介してくれました。 要らなきゃ粗大ゴミに出したり,リサイクルやネットオークションに出すのとも,また意味が違いますからね。

思うに,欧米系の人たちって, こういう日本の厳かで「静寂さ」のある文化に感激してくれますね。

今時の日本のメディアは,こういったことを若い世代に伝えようとはしないので,イギリス人女性にイギリスのメディアがコンテンツに組み込んでいたのは,ある意味,日本の見えざる文化的な側面を再認識する,イメージとしてはポップな企画だけど,良い機会でもありました。


2010/04/21

「ダーリンは外国人」に出演されている国仲涼子さんに注目。

:: 最近マスコミで話題の映画といえば
 「ダーリンは外国人」かなと思いますが・・・
 このブログの話題で注目すべきは,主人公の井上真央さんではなく・・・
 姉の役である国仲涼子さんの挙式シーンで・・・

:: 私の親友夫婦で経営しているブライダル小物の店プロデュースの・・・
 ティアラやネックレス等を着用されているそうです。

 これからこの映画を見られる方は,国仲涼子さんにご注目ください!

 http://www.jp-brugge.com/news_topics.htm

 ↑親友のお店のサイトです。
 近々ご結婚ご予定の方も,ぜひ贔屓にしてあげてください。

2009/10/01

白旗の少女:何回も再放送してほしいドラマ。

06030524:: このところ,テレビ番組がつまらなくて・・・
 同じドラマというか物語を観るならと大衆演劇へ行ったりしてますが・・・

 「テレビ東京開局45周年ドラマスペシャル」として放映された・・・
 「白旗の少女」は・・・
 「感動の」や「涙の」なんて形容詞が陳腐に感じる・・・
 とても内容のあるドラマでした。

 ある意味,ナチスの強制収容所での体験を綴った,
 ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」に匹敵する,というか,
 「戦争の無意味さ」を語り継くための実録です。

 私の感想よりも・・・テレビ東京のウェブサイトで・・・
 このドラマを見られなかった方は,じっくり知って下さい。

 http://www.tv-tokyo.co.jp/shirahata/

 ↑こちらがウェブサイト。

 
:: 「お笑い」も生活する上で大事だけど・・・
 「戦争の悲劇」というのは・・・
 最近の日本では・・・もう実感のない世界ですね。
 そういえば,今日,「核密約」の話題で持ち切りでしたが。

:: この番組,テレビ東京だったので話題性が低かったかもしれませんが,
 テレビ東京だからこそ制作できたドラマかもしれません。

 このドラマ,たぶんDVD化あるいは,どこかの劇場で公開されるかもしれません。
 それを期待します。


2008/10/25

「東京少女」:決して逢えない二人。


(●写真)
「東京少女」DVDのカバー。
でも,主演の夏帆(かほ)の着物シーンはありません。

☆久々に寺山修司の「田園に死す」を見ようと,
 レンタルショップでDVDを物色していたら・・・
 
 「決して逢えない二人。 ケータイの向こうは100年前のあなた」

 というコピーが目に飛び込み,思わず手にした。
 といっても,今年,劇場公開されていたようなので,気づくのが遅かっただけか。苦笑。

 
 この映画のストーリーは・・・

SF作家になりたい未歩(女子高生)が,
ある日,母の再婚相手(出版社勤務)を紹介され,
それを認められず飛び出すと地震が起きて,未歩の手から携帯電話が吸い込まれるように階段から落ちていった。
それがワームホール(Wormhole)だったことから,
100年前の同じ日,同じような階段を歩いていたのは・・・
出版社に持ち込んだ原稿が編集者によって却下され,落ち込んでいた夏目漱石の弟子で小説家志望だった宮田時次郎。
突然,建物の揺れを遭遇して驚くと,得体の知れない物体・・・携帯電話が現れた。

まず,このへんは,いかにもSFチックなドラマの展開ですが・・・

未歩と宮田時次郎が作家志望であり,時空を超えて携帯電話で会話し,恋心を募らせながらも・・・

「電話のバッテリーが二人の関係の切れ目」

携帯電話がテーマとなれば,おおよそ想像がつくところですが・・・
調べれば宮田時次郎の運命を知る事ができる未歩と,
現代人として自分にいつも不安を抱える未歩にとって,
一瞬の希望の光ともいえる宮田時次郎の一途な作品への情熱と人間を救いたいという思いが・・・

現代人に何が欠けているものは「何か」を考えさせてくれる部分もあります。
現代人は,どこか「結果が見えてしまっている」と思いがちではないですか?

携帯電話を持つ事で,100年前の宮田時次郎も,自分の将来に不安を抱えてしまいます。

とまれ,「明治」と「平成」という時代を携帯電話がつなぐというところに,
二人の男女が「決して逢う事のできない愛」の妙味があり・・・

現代人が抱える将来やコミュニケーションへの不安が,
100年前の人物を介して浮き彫りになっているといっては言い過ぎでしょうか?

「バッテリーの切れ目が縁の切れ目」なんですから。

映画の詳細については・・・

http://w3.bs-i.co.jp/cinemadrive/girl/index.html

でご覧ください。

------------------------------------------------

ちなみに・・・いろんな奇遇を,この映画を見て自分でも感じました。

まず,このDVDでは宮田時次郎が着物屋「ゑり善」の銀座店に入るシーンがありますが・・・
数日前に,私も「ゑり善」の本店(京都)に入ったこと。
ちなみに,「ゑり善」の銀座店は1957年にオープンしているので,100年前には存在していません。
まあ,フィクションなので許しましょう。笑。

また・・・じつは,私自身が,ある本の著者であり・・・
ずっと前から,50年後,100年後,図書館等で,どういう扱いをされるのだろうかと・・・
よく想像することがありました。

他愛のない余談はさておき・・・携帯電話が持つ事での恩恵もありますが・・・

不安要素も増えて来たと思うのは,私だけでしょうか?


2008/05/11

溝口健二監督作品『残菊物語』:女性の優しさと強さと。

☆溝口健二監督作品(1939年)。

 じつは大阪をベースにしている大衆演劇の劇団2つが,
 この「残菊物語」を演じることがあることを知りレンタルDVDで鑑賞。
 登場人物である,二代目尾上菊之助を演じるのは新派の花柳章太郎。女中のお徳は森赫子。

 最初に,すごく俗っぽい話をすれば,梨園(歌舞伎)の世界で御法度?!なのが,

 身分違いの結婚(left handed marriage)。

 梨園の御曹司ということで「高嶺の花」扱いされる大根役者の二代目尾上菊之助。

 そんな歌舞伎役者に歯に衣着せぬ率直な思いをぶつける,下層階級の女中・お徳。

 映画の前半シーンでは芸者遊びにも,どこか醒めている菊之助にとって,

 「自分のハートに響く人」であったわけです。

 けっこう客観的に見てみれば,女中が歌舞伎役者に意見申すなんてことは想像もつかない話ではありますが,

 溝口監督の女性への敬意みたいなものを感じさせるカメラアングルと展開なので,

 ごく自然に,話の中へ入っていくことができました。

 そんな菊之助が自分を試そうと単身で大阪に武者修行へ行ったかと思えば,お徳が彼を追ってきたり・・・

 さらには旅回りの役者(今の大衆演劇の役者の世界ですね)で苦労を重ねたものの・・・

 演技力があっても「梨園」の看板あってこそのスターダムであることを一番知っていたのは,

 女中として梨園の世界を見てきた「お徳」でした。

 東京を離れてからも,どこまでも菊之助を励まして支えてきたのに,

 お徳自身がお願いにあがって歌舞伎の世界に菊之助が復活すると,自ら身を引いて・・・

 二人で一時期を過ごした大阪の長屋で菊之助と再会した後,

 船で大阪の街を凱旋する菊之助とは対照的に息を引き取ります。

 こうやって書くと,某テレビ局午後1時30分からのメロドラマみたく思われるかもしれません。

 また,男の出世のために女が尽くすという,字面だけ見ればフェミニストから攻撃を受けそうな展開でもありますが,

 この時代にしては珍しいほど「女性の意見や気持ち」が大切に描かれています。 

 

 この物語を,もし大衆演劇の芝居で見たら「お涙ちょうだい」的な展開かもしれません。

 でも,この作品を取り上げる劇団なら,どちらも女形が得意なので,

 しっかりと演じるだろうと思います。

 

 そんな期待もあり・・・

 また,今どき,こんな女性が日本にいるのかな?!と,少し羨ましくもあります。苦笑。

 この映画はカメラのアングルもスケール感があるし,

 着物の雰囲気もいいです。

 羽織は,やはり戦前の長いタイプが粋でいいですね。

 白黒の画面だと余計に感じます。



2008/02/08

映画「夫婦善哉」:大阪本来の風情。

Zenzai_(●写真)豊田四郎監督「夫婦善哉」(織田作之助原作/1955年)

本日,車のカギを落としてしまい・・・
滝汗状態でしたが・・・良心的な大学生が警察へ届けてくれて大助かり。
半日,ドッと疲れたのでDVDで映画「夫婦善哉」を見てました。

それにしても・・・
江戸時代の近松門左衛門も・・・
昭和時代の織田作之助も・・・

大阪を舞台にした原作は・・・
いずれも男は甲斐性のない商人と,
花柳界に生きた女性が主人公。

「夫婦善哉」では・・・
女性は,曾根崎の人気芸者・蝶子(淡島千景)。
男性は,船場の化粧問屋の長男・柳吉(森繁久彌)。

そういえば,森繁久彌氏は,
私が大学に入学したとき,来賓者の一人として,ヨボヨボと入場しておられた。
今を思えば,日本の大衆向け映画や演劇に貢献した人が数多く学んだ大学であったと,つくづく思う。

1932(昭和7)年の大阪を舞台にしていますが・・・
最近の若い大阪言葉より,
1955(昭和30)年に撮影された当時の大阪弁のほうが,
何と耳に入りやすいことか。

曾根崎,船場,法善寺横丁・・・
今でも足を運びがちな大阪の街ですが・・・
話が英雄伝説でもなく,
さりとてドロドロした悲劇になるわけでもなく・・・
大小の波がありつつも,人間が生きていく様が描かれていて,
とてもココロが和む名作です。

ちなみに・・・この映画で出てくるカレー屋の「自由軒」は,
今も難波にあります。
高校生の頃から,大阪へ行くと,時々食べていました。
カレーに生卵がおいしいですね。

http://www.jiyuken.co.jp/
↑自由軒のサイト。

それと・・・
こういう古い映画を見ていると・・・
町人の気前の良さを受け継いでいるのは・・・
なんだか「お花(祝儀)」を旅役者に送る・・・
大衆演劇オタクのオバサン達かなと思いました。

なんだか「金こそ自己保身」的な世の中に,ますます堕ちている日本の社会です。


2008/01/18

裁断紙幣を再利用して地場産業の活性化とNHKのニュース「おはよう日本」で放映されていた

「お金」としての使命を終えた「紙幣」は,どこへ消えていくのか? 

今まで,気にならないようで気になる,とても興味深い話題でしたが・・・

NHKの朝のニュース「おはよう日本」で,山梨・身延町の手すき和紙の工房で,

縁起物の飾りをつけた団扇(うちわ)...etcに,裁断された紙幣を漉きこんで商品化されていました。

これも地場産業活性化の一環だそうで・・・裁断紙幣のリサイクルも,

言ってみれば「金は天下の回りもの」というフレーズそのものだなあと思わずにはいられませんでした。

で、ちょっと調べてみたら・・・この商品・・・

http://www.okumantyoja.com/

↑「億万長者」という山梨の製紙会社が運営するサイトで,

 団扇だけでなく扇子や封筒も紹介されてました。

 まあ,これも資源の有効利用ということで・・・

 景気がいいのか悪いのか,よくわからない昨今,

 「財運グッズ」として重宝されるのか?!


2007/04/17

「Dancer in the Dark」

Dark『ダンサー・イン・ザ・ダーク(Dancer in the Dark)』(Lars von Trier/Denmark/2000年)

・2000年カンヌ映画祭パルム・ドール(最高賞)
・2000年カンヌ映画祭主演女優賞(ビョーク)

この映画を見たことのない人へ,最初の一言。
エンディングは「絞首刑」のシーンです。

こうしたハッピーエンドで終わらない,とても重苦しいストーリー展開なので,
この映画に対する賛否がはっきりと分かれます。

私の場合・・・何度も,この映画を観ています。
それほど映画通ではありませんが,これまで見た映画の中でも,かなり好きな作品です。

作品のあらすじについては・・・

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=60256

↑を読んでみてください。

ちなみに,この『ダンサー・イン・ザ・ダーク』,かなり反米色の強い映画で,
ヨーロッパ人の醒めたアメリカ観を強く感じます。
ですから,アメリカ好きの多い日本でも,この映画に不快感を感じた人も多かったみたい。

とまれ,「力」で,移民を圧倒する,アメリカ。
優しくても,貧しい無力の移民は,荒唐無稽な裁判を翻すだけの「金」すら持ち得ない。
「真実」が「金」に駆逐される。
だからO.J.シンプソンのように,刑事事件では無罪,民事裁判では支払い命令といった判決も下るのですね。
ここ最近,日本でも裁判員制度が話題になっていますが,いわゆる陪審員制度というものも,
「死刑制度」を温存したままで・・・果たして冤罪を未然に防止することができるのか??
そんなことも,ついつい考えさせられてしまいます。

少々,ストーリー展開に無理があるものの,
理不尽な現実の中に現前する「もう一面のアメリカンドリーム」が存分に垣間見ることができます。

この映画を彩るのは,決定的なシーンへとストーリーが展開する前後で,
主人公のセルマを演じるビョーク(bjork)の歌と,登場人物らによるミュージカル仕立ての踊り。

Selma個人的に印象的だったのは,
一つ目のクライマックスともいえるシーンの直前,貨物列車の上で,セルマや鉄道夫らが踊る一コマ。
この映画のサウンドトラックは「selmasongs」というアルバムですが・・・
その中の3曲目「I've seen it all」は,Radio headのトム・ヨークとのデュエットもさることながら,
列車が線路を通るときの通過音が,そのまま,リズムトラックへと変貌する,その情景を想起させるセンスの良さに,
ただただ聞き惚れてしまいます。

http://unit.bjork.com/selmasongs/music/selmasongs-iveseenitall.mp3

2007/04/16

「過去のない男」

Kako「過去のない男(MIES VAILLA MENNEISYYTTA)」
(アキ・カウリスマキ監督作品/2002/Finland)

社会の底辺で繰り広げられる,人と人との助け合いを通して,「生きる」ことで大切なこととは何か?を,さりげなく教えてくれる名作です。
2002年のカンヌ映画祭で,グランプリと主演女優賞の2冠を受賞した作品。

このタイプの映画ですと・・・たとえば日本の映画だと,かなり情念に満ちていたり,過去を遡ったりして,ドロドロと湿っぽい感覚だったりしますが,何とも淡々と対話等が展開されていきます。このことが,むしろ,飾りじゃない「人間らしさ」を上手に表現していますね。

「過去に生きているわけじゃない。物の名前を知っていれば大丈夫。これから生きるのは未来だから」

公園のベンチで窃盗集団に襲われ,病院へ運ばれるものの,一時は死を宣告されたのに,奇跡の蘇生。笑。記憶を完全に失うものの,貨物車用のコンテナで暮らしている親切な貧民家族の主人が,名前すら記憶から失った主人公に投げかけた言葉が,上の台詞。

Kako02ストーリーが展開される空間は,社会の底辺で生きる人々や,救世軍だったりしますが・・・記憶をなくした男の過去にこだわるわけでもなく,名前で呼ぶわけでもない。「今を飾らずに生きる姿」が,見ていて,ユーモラスなストーリー展開や登場人物の会話も相まって,むしろ爽やかさすら感じます。

救世軍に奉仕する堅物で生真面目な女性・イルマとの出会いとハッピーエンド,救世軍の聖歌隊にロックの躍動感を教え貧民窟が楽しみに満ちたコミュニティーへと生まれ変わる・・・。そこには英雄物のような成功物語はないですが,見ている側に,生きることへの安堵感を与えてくれる,かなりの秀作です。

カメラワークも誇張したところがなく,日本では絶対に出せないような,淡い水色っぽい空間演出。スペインあたりでみる青青とした光に満ちた青空も美しいですが,フィンランドの淡い水色の空も,どこかエキゾチックに感じました。

余談ですが,電車の食堂車で,記憶をなくした男が食事をするシーンがありますが・・・なぜか,出てくる料理と酒は・・・寿司と日本酒でした。演歌みたいな歌も流れて・・・ユーモラス。笑。


http://www.eurospace.co.jp/kako/

↑ 「過去のない男」の公式サイト

2007/03/20

「日本以外全部沈没」

Chinbotsu久々にレンタルビデオ店へ行き・・・目当ての映画を探していたら・・・
残念ながら扱い無し。

というわけで・・・以前から気になっていた・・・

柴咲コウと草ナギ剛の・・・

「日本沈没」

じゃなくて,

「日本以外全部沈没」


を借りました。笑。


「日本沈没」の著者・小松左京氏と,「日本以外全部沈没」の著者・筒井康隆氏は,
大阪生まれでSF作家という点で共通していますが・・・


「日本以外全部沈没」は,筒井康隆一流の「ブラックユーモア」(black humour)
と「パロディ」(parody)に満ちあふれています。

映画の展開は・・・どことなく,大阪の吉本新喜劇を見ているような「ドタバタ劇」風ですが・・・「こういう事,日本の人はやりそう」と思わせる内容です。


話の展開としては・・・地球規模の地殻変動で,アメリカ大陸を皮切りに,中国,ヨーロッパ,アフリカ・・・ついに2011年には,日本列島を除く陸地が全て海没(チベット等一部残るものの)。

それを機に,世界各国の大統領級の要人や,ハリウッドの映画スターらが,生き残りを賭けて,日本人に媚びて日本語を話しだす。

しかも・・・キャストが登場するシーンの多くは,日本式のナイトクラブで,
しかも,ホステスを含めスタッフは外国人ばかり。

そこで,日本人政治家らが,優越感に浸って威張る。笑。

似たような事を,今すでに世界のどこかでやっていそうだな。^^


知らぬ間に,日本列島の人口は・・・

先住の日本人一億人に対し,海外難民四億人となり,

食糧自給率の低い日本なので,10円の「うまい棒」が10万円に高騰し(笑),

犯罪を繰り返す外国人を一掃しようと,「GAT〈外人アタック・チーム〉」という超法規的措置を日本政府が発令する。ガス銃で,ホームレス外国人の段ボールハウスを焼き払うシーンは,まるで,ドイツ軍のポーランド侵攻のようでもある。

これを見たら・・・日本国籍を持つ人以外は,激怒するかもしれない。


でも,少し筒井康隆のアイロニー(irony)精神に対して読みとる姿勢があれば・・・
むしろ「差別的な笑い」であるほうが,より心に突き刺さってきます。


それにしても・・・「天気予報」ならぬ「外人予報」とか・・・ヤバイなあ。

日本人男性とアメリカ人女性の夫婦が,メイド喫茶ファッションの外国人を使用人に雇ったり・・・

とまれ・・・ストーリーが終わりに近づくにつれ・・・どんどん日本人が惨めになっていく。
そして,最終的には,日本も沈没してThe End。

念の為,言っておけば・・・これは決して外国人差別の映画ではなく,
日本で生まれ/育った人による,自虐的なパロディ(parody)と思って見たほうが健全?!です。
とまれ・・・日本人の気質も,どんどん変化してると思いますが・・・。

原作者・筒井康隆氏まで,映画に登場します。^^


この映画を見て・・・なんだか「猿の惑星」を思い出しました。
醜い猿人間のコーネリアスのモチーフが,戦中の日本兵だったなんて・・・嗚呼!ですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%BF%E3%81%AE%E6%83%91%E6%98%9F

↑猿の惑星の紹介文

追伸:

映画で話題になる「うまい棒」と棒菓子ですが・・・標準小売価格は1本10円(税別)。卸値は7円50銭。販売価格10円の中で製造するので,原材料費の価格変動に合わせて,長さを予告無く常に変更しているらしい。 ..