« 穏やかな波のように優しくゆらめくヴォイス:「Live in NYC /Gretchen Parlato」 | トップページ | iPadよりも記録したことが脳裏に焼き付く?!:「B6リポートリーフ」と「クイックレポートリーフ」 »

2014/08/29

鳥瞰的視点からの日本文化論:『月の裏側  日本文化への視角』(クロード・レヴィ=ストロース=著/川田順造=訳)

10599460_10203223851530362_34404363

8月に読んだ本のなかでも印象的だった一冊…

『月の裏側  日本文化への視角』(クロード・レヴィ=ストロース=著/川田順造=訳)

日本人は「国内外関係なく書かれた日本人(文化)論が好き」。
アメリカ人は「アメリカ人が書いたアメリカ文化論以外は読まない」。
中国人は「そもそも中国人(文化)論を読まない」。

などと言われたりもしますが……

フランスの社会人類学者クロード・レヴィ=ストロースによる、とても視野の広い日本文化論。

近代化された社会のみならず未開社会までも通暁する知の巨人のまなざしは、
いたずらに日本を特殊化しない。

はるか昔は陸続きであったとされる、
アジアやアメリカ大陸に伝えられる神話や民話との共通性を語りつつも、
「日本文化をたらしめているもの」を見事に分析されている。

読了後、あらためて日本の文化について「目から鱗が落ち」る思いがしました。

日本人が「国内外関係なく書かれた日本人(文化)論が好き」という点については……
以下にひきますレヴィ=ストロースの見解に集約されているのではないでしょうか。

まず、主体を思い描くとき、

西洋人の思考は「私」から外側へと「遠心的」に構築し、
日本人の思考は「私」から外側から「求心的」に構築する。

これについては……

「人称代名詞を避ける傾向のある言語にも、社会構造にも、見られます」(38ページ)
との指摘から、次のような、とても興味深い一節を導いています。

「中国生まれの汎用鋸(のこ)やさまざまな型の鉋(かんな)にしても、
 六・七世紀前に日本に取り込まれると、使い方が逆になりました。
 職人は、道具を向かって押すかわりに自分の方へ引くのです。
 物質に働きかける行為の出発点ではなく到達点に身を置きますが、
 これは家族、職業集団、地理的環境、
 そして、されに広げれば国や社会における地位によって外側から
 自分を規定する根強い傾向にあります」
(38ページ「世界における日本文化の位置」所収)

閑話休題。
レヴィ=ストロースが日本に惹かれるようになったきっかけのひとつとして日本の古典文学であり
『源氏物語』にかんしても深い造詣をもっていることが、
この本を読むと痛感します。

母型親族の役割、交叉いとこ同士の結婚……etc、
社会人類学者らしい視点を随所に感じる次第。

今年こそは『源氏物語』を読破と思いつつ、
どうも「積ん読」状態。二つ目の写真は、
7年前、『源氏物語』を読破したスペイン人の友人のリクエストで、
紫式部が『源氏物語』を執筆した場所(石山寺)を訪れた時に撮った自己所有の本と紫式部像。

10410235_10203223853890421_44679836

« 穏やかな波のように優しくゆらめくヴォイス:「Live in NYC /Gretchen Parlato」 | トップページ | iPadよりも記録したことが脳裏に焼き付く?!:「B6リポートリーフ」と「クイックレポートリーフ」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91790/60226574

この記事へのトラックバック一覧です: 鳥瞰的視点からの日本文化論:『月の裏側  日本文化への視角』(クロード・レヴィ=ストロース=著/川田順造=訳):

« 穏やかな波のように優しくゆらめくヴォイス:「Live in NYC /Gretchen Parlato」 | トップページ | iPadよりも記録したことが脳裏に焼き付く?!:「B6リポートリーフ」と「クイックレポートリーフ」 »