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2013/05/21

「反・幸福」=「吾唯知足」(われ、ただ足るを知る):『反・幸福論』(佐伯啓思=著)

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こういうタイトルにはピンとくるという一冊『反・幸福論』(佐伯啓思=著)
どうも自分自身は「ポジティブシンキング」だとか、
一方的な方向ばかり見るのが苦手ということもありますが。苦笑。
いや、たいして世間的な「幸福」には恵まれていないだけか?!

そんな個人的な余談はさておき……

世間の景気は「悪い」よりは「良い」に越したことはないけど、
一歩間違うと、
倒産前の会社が社員への不安を一掃するとき、
まるで組織改編するかのごとく新提案だの会議だのを上層部が打ち出すがごとく、
一本目、二本目、そして三本目の矢を放とうとする「アベノミクス」。

再び新自由主義路線盛りだくさんな提案がなされ、
小泉純一郎政権のときよりも、
確実に「痛み」を伴う人が増える可能性大です。

なのに見せたくない部分にはフタをしようとしてると思わずにいられない部分もままありますが、
かくいう自分を含めた国民自身も「本当のところ」は見たくないという「肝心なことは先送り」的思考こそ……

そのじつ「なんとなく幸福でありたい」という強迫観念ではないでしょうか。

ちょっと極論じみてるかもしれませんが、
自分達の置かれた状況を見据える前に、
「第三の開国!」などと言って、
良い方向だろうが悪い方向だろうが、
外圧(ガイアツ)によって尻を叩いてもらわないと現状を打破できないというのも困ったもの。

だけど、
かつてのような「年功序列」や「終身雇用」も崩れつつあり、
努力して勤勉に勉強し働けば必ず報われるとはいえなくなった昨今。
一昔前から……
高収入・高地位かつ最難関試験の突破者と言えば法曹関係の方々ですが、
今や弁護士の約2割が年収100万円以下(ちなみに経費を差し引いた所得)と聞いて驚きを禁じ得ませんでした。

日本という国だけでなく私たち一人ひとりも、
その立ち位置を決めるタイムリミットを迎えていることだけは間違いないようです。

で、「反・幸福」ということですが……
これは「不幸」を意味することではなく、
「幸福」という漠然とした、極めて不確実な人間製の概念に振り回されず、
ギブアップという意味ではない「諦め」(道理をしっかりと見据える)を大切にして、
自分の足だけで立ってるのではなく、
長きにわたって育まれた自然や文化や環境のなかで生かされ、
そして周囲の人々の「おかげさま」もあって生活している。
そんな気持ちを大切にしたい。

なんて偉そうなことを言ってみたりもしましたが、
今、何でもいたずらに「変革」を求めることに「?マーク」が点灯している人であれば、
この本のイイタイコトには共感できることでしょう。

余談ですが「デフレ脱却!」と声高に叫ばれていますが……
あれだけ浮かれて高級ブランドを分割払いで買うのがあたりだったバブルの後期には、
すでにダイエーで39円の「セービング・コーラ」が売られていたり、
多くの小売店も営業時間をどんどん伸ばしサービス残業も今よりも多かったと思う。
工場内では今や世界でも通用する「カイゼン」(改善)あって生産性が上がり、
品質や価格的に世界で競争力のある商品が多々誕生したものの、
「高すぎる生産性」というのも、ある意味、デフレの要因の一つでもあるわけです。
何でもたくさん「欲しい!」と思うその裏側で、
泣いてる人、苦しんでいる人がたくさんいうという想像力はもっていたいところです。

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