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2013/01/18

アーバンツーリズムと曽根崎心中:大坂三十三観音巡礼(最終回/天王寺~心斎橋・本町)

※はじめてお越しの方へ。

はじめからお読みになられる場合は…
大坂三十三観音を歩いて大阪の街を再発見:その序章。
大坂三十三観音巡礼記その1
大坂三十三観音巡礼記その2
大坂三十三観音巡礼記その3
大坂三十三観音巡礼記その4
をクリックして順次お読みください。

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大通りをはさんで国立文楽劇場の前にあった古本屋。
「本より散歩」「本より昼めし」「本より恋愛」「本より映画」
という大阪っぽいパラドックスめいたコピーが新鮮でした。

さてさて,8月末に歩いた大坂三十三観音巡礼記録も今回が最後です。
写真をまじえながら歩いた軌跡を綴ります。

今までどおり,最後に曾根崎心中の原文と現代語訳をつけますが,
曾根崎心中で描かれた大坂三十三観音巡礼の最後の一文を,
勝手な現代語訳で恐縮ですが最初に紹介しておきます。

「観音様は一切衆生(私たち人間)を助けようと,
 この世に,三十三もの姿を変えては現れ,
 色気で人間の心を導き,情で人間に教え,
 恋を菩提の架け橋にして,美しいあの世(浄土)へ渡して助けてくださいます。
 遊女のお初は,さながら,観音の化身なのでしょうか?
 観音様の誓いは尊くも有り難いものです。」

第二十番~第三十三番まで。
四天王寺から心斎橋を経由して,最後に本町周辺で満願です。

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まずは四天王寺から。

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じつはこの五重塔をはじめて近くで見ました。
この五重塔や一部の仏閣を見る時だけ拝観料300円が必要です。

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四天王寺は新西国観音霊場の一番札所でもあり,
門前には巡礼に必要なものが一通り揃えることができます。
とまれ,今も昔も大坂三十三観音巡礼においては,
白装束で歩いた人は極めて稀だったのではないでしょうか?

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天王寺界隈にもある「清水寺(第二十五番)」へ行くルートに「だんじり」を作る会社がありました。

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谷町筋と松屋町筋の間には風情のある坂がたくさんあります。

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二十五番札所・清水寺。
通天閣を臨むだけでなく,いにしえの大坂の街を網膜の奥で描き出したくなる絶景です。

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第二十六番・心光寺,第二十七番・大覚寺,第二十八番・大覚寺。
このエリアは古い石標が多く,ふと巡礼者の足音を感じました。

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第二十九番・大覚寺。
天王寺高校発祥の地とありました。

さてさて,残すは,あと4カ所。
この時点で500MLのペットボトルを4、5本ぐらい消費。
でも,そのあかげで熱中症にはなりませんでした(※2010年8月)。

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次の札所である三津寺までは少々距離がありますが,
国立文楽劇場の前を大坂三十三観音巡礼で通るなんて,
奇遇といったらいいのでしょうか?

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ようやく難波・千日前に着くと,
なぜか人混みの中へ入っていきたくなりました。
さてさて,寄り道っぽくなってしまいましたが……

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御堂筋沿いにある第三十番・三津寺。
人通りの多い繁華街の中でも,
こうして巡礼で訪れると,なんだか心が落ち着くから不思議。

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第三十一番・大福院があったと思われる場所。
大阪だけでなく京都でも,歴史的な文献で書かれている場所の多くが,
コンビニやチェーン店のテナントだったりします。

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午後三時ごろに第三十二番・難波稲荷神社に到着。
小洒落た南船場のブティックがあるエリアを,
首にタオル,手にペットボトルと,頭に日本手ぬぐいをまとう,
怪しい男となった一日でした。苦笑。

そしていよいよ,最後の第三十三番・御霊神社に着くと……

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なんと文楽座跡でもあることを知りました。

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ここで大坂三十三観音の満願!!
自然と頭が垂れました。
そして神主さんからも労をねぎらう優しい言葉もいただきました!!

こうして大坂三十三観音を巡礼することで,
「曾根崎心中」を身体で読むことができ,
近松門左衛門の描写力の凄さを感じることもでき,
いろんな大阪の顔に出逢えました。

曽根崎心中を読んだり関心がある方でしたら,
きっと「けっこうしんどいけど楽しめる」大阪の奥深いアーバンツーリズムとして,
大坂三十三観音巡礼をオススメします。

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最後に四天王寺から御霊神社までの「曾根崎心中」の該当部分を,
現代語訳と原文と両方,以下に紹介します。

slateマークの部分 .... 近松門左衛門の原文です。
clubマークの部分 .... 私が勝手に現代語に翻訳・要約したりしたものです。

club私の勝手な曾根崎心中の現代訳

「はやくも天王寺にきました。
 まず六時堂,次に7000以上もの経典が納められている経堂を巡拝しました。
 今はお経を読む酉の時刻(夕方)ということもあり,
 カップルが待つ宵や朝の朝の別れについては他人事と思えど,
 聴くと辛い鐘の音が「こんこん」と響く金堂,そして講堂と巡拝しました。
 萬燈院(まんとういん)には,光り輝く蝋燭(ろうそく)がともされていました。

 新清水(清水寺)に着くと,しばしの休憩。
 (西行法師の古い歌を偲ばせる)逢坂の関の清水を汲み上げて,
 両手ですくって口をすすぎ,煩悩(ぼんのう)を起こす酒の酔いをさましました。
 
 木々の下を吹く風が涼しく右の袖から左の袖へと通り抜けます。
 通りのよい煙管(キセル)にくゆらせる煙も道中の癒しになって熱く感じません。
 その煙を吹き出すと乱れて空に消え,行方も知れません。
 タバコの別名である相思い草も,恋人を思うよすがとなりました。
 そうして寄り道をしている間に,陽が傾いて,
 先を急ごうとしていると,雨雲が広がってきました。

 時雨の松の下で雨宿りをしようと,下寺町へ回り,
 信心の心で深く心光寺をお参りし,
 いまだ悟りのない身さえも大いに悟ることができる大覚寺をお参りしました。
 さらに金台寺そして大蓮寺と巡拝すると,

 いよいよ第三十番の三津寺に着きました。
 この寺の大慈大悲に願いを込めて,
 仏の御手にかけられた五色の糸にすがって白髪町の大福院へ。
 黒髪は恋に乱れるものですから,その妄執の夢を醒まそうと,
 夢を食べるという獏(ばく)の名に通じる博労町まで辿り着きました。
 この稲荷は,仏は水,神は波の関係を示す標しとして,
 屋根を並べて観音堂そして新御霊社があり, 
 ついに新御霊社(御霊神社)で最後の観音様を拝み終えました。
 
 その観音様は一切衆生(私たち人間)を助けようと,
 この世に,三十三もの姿を変えては現れ,
 色気で人間の心を導き,情で人間に教え,
 恋を菩提の架け橋にして,美しいあの世(浄土)へ渡して助けてくださいます。
 遊女のお初は,さながら,観音の化身なのでしょうか?
 観音様の誓いは尊くも有り難いものです。」

slate近松門左衛門の原文

「はや天王寺に六時堂、七千余巻の経堂に、経読む鳥のときぞとて。
 よその待宵きぬぎぬも、思はで辛き鐘の声。こん。
 金堂に講堂や萬燈院に灯す火は。
 影も輝く蝋燭(ろうそく)のしん清水にしばしとて。やがて休らふ。
 逢坂の関の清水を汲みあげつ。手にむすびあげ口すすぎ、無明の酒の酔ひさます。
 木々の下風。ひやひやと右の袖口左の袖へ。通る煙管にくゆる火も。
 道の慰み熱からず吹きて乱るる薄煙。空に消えては是も又。行方も知らぬ。
 相思草。人忍ぶ草。道草に、日も傾きぬ急がんと又立出る雲の足。
 
 時雨の松のした寺町に、信心深き心光寺。悟らぬ身さへ大覚寺。
 さて金台寺大蓮寺。めぐりめぐりて是ぞはや。
 三十番に。みつ寺の大慈大悲を頼みにて。かくる仏の御手の糸。
 白髪町とよ黒髪は恋に乱るる妄執の。
 夢を覚さん博労の、ここも稲荷の神社仏神水波のしるしとて、
 甍並べし新御霊に、拝みおさまるさしも草。
 草のはす花世にまじり、三十三に御身をかえ色で。導き情で教へ、恋を菩提の橋となし、渡して救ふ觀世音。誓ひは妙(たへ)に有難し。」

大坂三十三観音巡礼記おわり

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