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2008/05/11

溝口健二監督作品『残菊物語』:女性の優しさと強さと。

☆溝口健二監督作品(1939年)。

 じつは大阪をベースにしている大衆演劇の劇団2つが,
 この「残菊物語」を演じることがあることを知りレンタルDVDで鑑賞。
 登場人物である,二代目尾上菊之助を演じるのは新派の花柳章太郎。女中のお徳は森赫子。

 最初に,すごく俗っぽい話をすれば,梨園(歌舞伎)の世界で御法度?!なのが,

 身分違いの結婚(left handed marriage)。

 梨園の御曹司ということで「高嶺の花」扱いされる大根役者の二代目尾上菊之助。

 そんな歌舞伎役者に歯に衣着せぬ率直な思いをぶつける,下層階級の女中・お徳。

 映画の前半シーンでは芸者遊びにも,どこか醒めている菊之助にとって,

 「自分のハートに響く人」であったわけです。

 けっこう客観的に見てみれば,女中が歌舞伎役者に意見申すなんてことは想像もつかない話ではありますが,

 溝口監督の女性への敬意みたいなものを感じさせるカメラアングルと展開なので,

 ごく自然に,話の中へ入っていくことができました。

 そんな菊之助が自分を試そうと単身で大阪に武者修行へ行ったかと思えば,お徳が彼を追ってきたり・・・

 さらには旅回りの役者(今の大衆演劇の役者の世界ですね)で苦労を重ねたものの・・・

 演技力があっても「梨園」の看板あってこそのスターダムであることを一番知っていたのは,

 女中として梨園の世界を見てきた「お徳」でした。

 東京を離れてからも,どこまでも菊之助を励まして支えてきたのに,

 お徳自身がお願いにあがって歌舞伎の世界に菊之助が復活すると,自ら身を引いて・・・

 二人で一時期を過ごした大阪の長屋で菊之助と再会した後,

 船で大阪の街を凱旋する菊之助とは対照的に息を引き取ります。

 こうやって書くと,某テレビ局午後1時30分からのメロドラマみたく思われるかもしれません。

 また,男の出世のために女が尽くすという,字面だけ見ればフェミニストから攻撃を受けそうな展開でもありますが,

 この時代にしては珍しいほど「女性の意見や気持ち」が大切に描かれています。 

 

 この物語を,もし大衆演劇の芝居で見たら「お涙ちょうだい」的な展開かもしれません。

 でも,この作品を取り上げる劇団なら,どちらも女形が得意なので,

 しっかりと演じるだろうと思います。

 

 そんな期待もあり・・・

 また,今どき,こんな女性が日本にいるのかな?!と,少し羨ましくもあります。苦笑。

 この映画はカメラのアングルもスケール感があるし,

 着物の雰囲気もいいです。

 羽織は,やはり戦前の長いタイプが粋でいいですね。

 白黒の画面だと余計に感じます。



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