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2007/04/16

「過去のない男」

Kako「過去のない男(MIES VAILLA MENNEISYYTTA)」
(アキ・カウリスマキ監督作品/2002/Finland)

社会の底辺で繰り広げられる,人と人との助け合いを通して,「生きる」ことで大切なこととは何か?を,さりげなく教えてくれる名作です。
2002年のカンヌ映画祭で,グランプリと主演女優賞の2冠を受賞した作品。

このタイプの映画ですと・・・たとえば日本の映画だと,かなり情念に満ちていたり,過去を遡ったりして,ドロドロと湿っぽい感覚だったりしますが,何とも淡々と対話等が展開されていきます。このことが,むしろ,飾りじゃない「人間らしさ」を上手に表現していますね。

「過去に生きているわけじゃない。物の名前を知っていれば大丈夫。これから生きるのは未来だから」

公園のベンチで窃盗集団に襲われ,病院へ運ばれるものの,一時は死を宣告されたのに,奇跡の蘇生。笑。記憶を完全に失うものの,貨物車用のコンテナで暮らしている親切な貧民家族の主人が,名前すら記憶から失った主人公に投げかけた言葉が,上の台詞。

Kako02ストーリーが展開される空間は,社会の底辺で生きる人々や,救世軍だったりしますが・・・記憶をなくした男の過去にこだわるわけでもなく,名前で呼ぶわけでもない。「今を飾らずに生きる姿」が,見ていて,ユーモラスなストーリー展開や登場人物の会話も相まって,むしろ爽やかさすら感じます。

救世軍に奉仕する堅物で生真面目な女性・イルマとの出会いとハッピーエンド,救世軍の聖歌隊にロックの躍動感を教え貧民窟が楽しみに満ちたコミュニティーへと生まれ変わる・・・。そこには英雄物のような成功物語はないですが,見ている側に,生きることへの安堵感を与えてくれる,かなりの秀作です。

カメラワークも誇張したところがなく,日本では絶対に出せないような,淡い水色っぽい空間演出。スペインあたりでみる青青とした光に満ちた青空も美しいですが,フィンランドの淡い水色の空も,どこかエキゾチックに感じました。

余談ですが,電車の食堂車で,記憶をなくした男が食事をするシーンがありますが・・・なぜか,出てくる料理と酒は・・・寿司と日本酒でした。演歌みたいな歌も流れて・・・ユーモラス。笑。


http://www.eurospace.co.jp/kako/

↑ 「過去のない男」の公式サイト

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