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2006/08/07

sounds cool :: Sabi / SND

かつて,レコードのLP盤に付いていたオビの上方に,小さくミュージシャンのジャンル分けが書かれていました。といっても,「ロック」「フュージョン」「ジャズ」「クラシック」・・・といった調子で,現在のCDショップ程には細かく分類されていませんでしたが。

中でも興味深かったのは,日本語でいうところの,いわゆる「電子音楽」です。今につながるテクノミュージックの系譜をたどれば・・・クラフトワークやYMOを避けて通ることはできませんが・・・。なんと1980年代の分類でいけば,クラフトワークは「ロック」,YMOは「フュージョン」だったのです。いずれも,そういた分類が正しいかどうかはさておき,そもそもカテゴリー分けほど曖昧なものはないと思わざるを得ません。

余談はさておき,自分自身,ジャズ喫茶に行って酒を飲むこともあれば,クラブでDJやVJのプレイを観戦?することもあるし,パンクのギグだって行くこともあります。あと・・・渋谷へ行けば名曲喫茶で喧噪から逃れることも。

今日は,ここ最近,部屋で聴くことの多い音源二枚です。
噴水に喩えてみれば・・・シュワシュワと勢いよく飛び散る水そのもの放物線よりも・・・水しぶきからささやかに広がるミストが発する虹色を音で楽しむといった趣でしょうか。ジャンル分けでは・・・あまり詳しくはわかりません。CDショップへ行けば・・・chill outとかtechnoとかdeep houseとかloungeとかcafe musicとかambientとか・・・そんなコーナーで見つかるものと思われます。

Sabi_nebuloussights● Sabi / nebulous sights (cactus islands recordings, 2006)

日英の混血というサウンドクリエイターによるミニCD。「nebulous sights」というタイトルから想像するに,日常や人生におけるマッシヴな思いでや記憶ではなく,ふと目を閉じたときや何気ない空想に耽ったときに浮かんできた情景やイメージを,音としておぼろげに(しかし精緻に)スケッチした。そんな印象を持つ一枚。

ジャケットには線香が写っていますが・・・どこかしらメランコリックなメロディーもチラホラ垣間見られるサウンドは,勝手ながら日本の電子音楽だと認識(使用されている書体のかわいさもどこかしら)。想像していたよりも素直な音づくりで,全体的に「液体」を思わせる雰囲気が漂います。ただ,massive attackの100th windowのように,深海を思わせるというか,ずっしりと心の奥底をたどっていくようなサウンドとは違い・・・昆虫や魚の目線を想像するような浜辺の波音や水面の波紋,水中の鼓動・・・台所や食卓のエトセトラ・・・幼少時の記憶みたいなものを,聴いていて勝手に感じました。まったりとした目線の高低を感じられます。

大ざっぱにいえば,テンポはゆるいし,ゆったりとソファにでも座って聴きたいサウンドです。チルアウト(chill out:冷静になる、落ち着く)な路線と言っておけばいいのでしょうか。

全体的には好印象。個人的は意見を言うとすれば・・・ところどころ散りばめてある,グリッヂ音(ジリジリ/チリチリした感じの本来はエラー音と言えばいいのか?)にもっと不規則なリズムがあったら,さらに面白味が出るのではないかと思ったりもしました。さらに今後が楽しみでもあります。

http://www.cactusisland.net/

↑試聴できるようです。


Tenderlove● SND / tender love (EFA, 2002)

時々足を運ぶ古本屋で,一時期店員さんの趣味?だとは思いますが,中古盤でかなり趣味色の強いコーナーがあり,2年前に思わずジャケット買いした一枚。じつは・・・このアルバムに入っている曲,テレビのニュース番組等で時々,耳にしたなあと。

こちらは・・・音数もかなり削り取ったミニマルなサウンドで,カチカチとクリッキーですが,リズムはけっこう捻りが利いていたりします。ただし,かなりソリッドでクールな音づくりなので,夏や音に相応しい場所以外ではちょっと冷たい印象を持つアルバムです。変な表現かもしれませんが,夏の夜にエアコンが発するノイズが,このアルバムみたいなサウンドだったならば,体感温度はかなり下降するでしょう。

ポストテクノミュージックについて書かれた本のなかに,このSNDが絡んでいるレーベル?「Mille Plateaux(ミル・プラトー)」について書かれたいたことを思い出したぐらいの知識しかなので・・・詳しいことをお知りになりたい方は,検索エンジン等で,その道のマニアが書いたエトセトラを参照してください。

ちなみに・・・「tender love」とは,日本語で「慈愛」を意味しますが,このアルバムを聴くと・・・こんなにクールな慈愛の表現の方法もあるんだ,と,新しい発見です。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005YE6W/250-9410408-5501804?v=glance&n=561956

↑こちらも試聴可能であるようです。

Words are not enough...そんな思いを持った,歌詞はなくても詩的なサウンドを持った作品との出逢いを嬉しく思います。


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