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2005/07/24

新しい神様。

nao8-1093714192-4劇場公開のときは仕事のことで頭がいっぱいだったため足を運ぶ気にもなれず・・・ずっと見ようと思っていながらも,昨年,DVDで購入した『新しい神様』を,久々に見ました。

 反天皇制を標榜する土屋豊監督作品(1999年)。主演は,当時,ホンモノの民族派右翼で,右翼パンクバンド『維新赤誠塾』のボーカルでキャバクラ嬢だった雨宮処凛(あまみやかりん)。最近ではすっかりゴスロリファッションで文筆業してらっしゃる,1975年生まれの人です。

雨宮さんの公式サイトは・・・

http://www3.tokai.or.jp/amamiya/

 さて,「左」の映画監督と「右」の右翼パンクバンドのメンバー(雨宮ともう一人男性)を中心に,左右の大物人物までもが登場。なんと主演の雨宮処凛さんは,監督に渡されたビデオカメラを持って北朝鮮までいっちゃうという,まさしく筋書きのないドラマと呼ぶにふさわしいドキュメンタリーでもあります。

 ちなみに,雨宮さんは小・中学生の頃ずっといじめられ,高校生の頃はビジュアル系バンドのおっかけをやり・・・自殺未遂を繰り返し・・・とにかく自分の居場所がない空虚感をいつも感じつつ,そんな自分が依存でき・すがりつき・自分を意味づけてくれたのは・・・民族派右翼との出会いでした。

 そして,その象徴ともいえる場所が「靖国神社」。とまれ映画の詳細は・・・ 

http://www.st.rim.or.jp/~yt_w-tv/kamisama.html

でご確認いただくとして,この映画・・・青春映画だとか,政治性の強い映画といっ
た批評がありますけど・・・ボク自身が・・・いやこの映画を観た多くの人が気になっ
たのは・・・ひとつは,雨宮さんの・・・

「最初は土屋さんが私のことを好きなんじゃないかなと思って悩んだりしてたけど・・
・ホントは私が土屋さんのこと好きなんじないかなって・・・」

なんて告白するシーン。で,映画の最後には,土屋監督がそれを受けてコメントするシーンがあるのですが・・・確か・・・

「雨宮さんは自分のことを価値がないとか存在感がないとかいうけど・・・自分の言葉を持った人だしぜんぜんそんなことない・・・」

といった率直な気持ちを述べた後・・・ちょっと緊張の面もちで・・・「ボクには雨
宮さんが必要なんです」といってます。「作品づくりをするうえで」みたいなニュア
ンスを残してますけど・・・しかし・・・?!

とまれ,個人と国家とかいろんな概念が映画のなかで語られますけど・・・ビデオカ
メラをとおして,他人の言葉や物語にすがるだけではなく,「自分の言葉」で伝える
ことや自分が自分であることの大切さをつかんでいくなんて・・・とてもおもしろい展開でもあるとともに・・・登場人物をどこまでも裸にしていくのですから,ある意味,対象への思いやりがないと作品として世には出せませんよね。画像の編集でそれがひしひしと伝わってきました。

 作品のなかで素直に自分をどんどん出していく雨宮さんの姿を見て・・・ああ,
ここまで自分をさらけ出せないなあ。自分って大したことないなあって思った次第で
す。雨宮さんだけでなく,やっぱり女の人はそのへんがすごいですね。

 そして,もうひとつこの映画をあらためて観て感じたことは・・・,どことなく何でもありなようで,そのじつ心の拠り所が見いだせない現代人の,宗派とか宗教団体とかそういった狭義の枠組を超えて「何を信じるか」という問題でしょうか。「自分とは何者か?」「自分と社会との接点はどこにあるのか?それは何なのか?」...etc。この映画でよく登場する言葉を借りて言えば・・・経済的にもそれなりに満たされ「平和ボケした」平均的な市民?は,ある種,「健康」が生き甲斐の拠り所になってる傾向が大ですが・・・まあ,その多くは身体的なトラブルが増えてくる中年以降の方々だとしても・・・若年層は,DVDバージョン付録として収録されているトークショーで雨宮処凛さんが言っているように,むしろ「世界」から浮きまくっている方が,自分自身を含めていろんなことが見えてきてくるのでしょう。ひとまず「何を信じていくべきか」漂流する経験を積むことが,現代をタフに生き抜くことなんだと納得させられた次第です。

 その意味で,この映画は,いろいろと心が揺れ動くであろう20代の人たちにこそ,また「靖国問題」を考える題材としても観て何かを感じてもらいたい内容であります。とくに戦死者を考える場合,家族の中では大半の戦死者が寺から戒名や法名をもらって「仏」となり,国家においては戦没者として「英霊」として「神」となり祀られる。この乖離,みなさんはどう考えられますか? 靖国を考える以前に,そうした日本の宗教観を問う方が,むしろいろんな意見が出ておもしろいかもしれません。

只今のBGM ...... Jimi Hendrix : Star Spangled Banner (woodstock)

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コメント

>tonochan7160さん

書き込みありがとうございます。この映画は、雨宮処凛を見つけだした時点で、映画の半分が完成していたような、いや、いろんな意味で、作品が公開後も半分は完成している映画だと思います。あとの半分は、監督や雨宮さんのこれからの生き様というか。
自分自身、あまり映画は観ない方ですが、ときおりここで綴っていこうと思っています。これからもよろしくお願いします。

TBありがとうございます
いろいろ考えさせられる
本当に面白いドキュメントでした

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